short

□予想を2つ、飛び越えて
1ページ/3ページ





「さぁ一輝!
私にひざまづいて頭を垂れて哀願なさい!」

「………」



一輝の顔に深い皺が刻まれる。

主に眉間に。



「あ、ちょっと!
どこに行」
「どこに行こうと俺の勝手だ。」



言うが早いか、みるみるうちに一輝の姿が見えなくなった。

後ろから怖ず怖ずと瞬が声を掛ける。



「あの……音夢さん?」

「あ、瞬君…」



明らかに音夢の眉が垂れ下がっている。

瞬は深く溜め息を吐いて事の成り行きを尋ねた。



「今回はシャカだったの…」

「あぁ、だからあの不遜っぷりですか。
その前は…」

「その前は星矢君のツンデレ。
その前の前は紫龍君の守ってあげたい系女子。
さらにその前はアイオリアとカミュ推しのクールビューティー。
あとは…」

「音夢さん、いっぱい頑張ったね…」

「そう!
どうやっても一輝君がデレてくれないの…!」



音夢はその場にしゃがみ込んで空を見上げる。

今日の空は目に痛いくらい晴天で嫌になるくらい青だ。



「兄さんがデレるってちょっと想像つかないよ?」

「…瞬君にはデレてるもん。
あーあ、一輝君はやっぱり私を嫌いなんだよ。
もしくは私の頑張りを見て内心笑ってるんだよ。」

「そんな事…
兄さんは嫌なものは嫌と言う人ですから。
言わないって事は…」
「後者って事よね。
へこむなぁ…」



膝を抱えてぐすりと鼻を啜る音がした。

見ると音夢は目に涙をいっぱいに溜めている。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ