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□プライベート・イズム
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「離れろ。」

「ってぇ、何すんだ。
ちょっとじゃれてただけじゃねぇか。」



困ったように私に視線を送る。

事の詳細が知りたいみたいだ。



「ちょっと相談されていただけよ。
デスマスクと紫龍君に。」

「何をだ?」



珍しく嫉妬でもしているのか追求してくる。

これは本格的にご機嫌ナナメだな…



「シュラ、」

「何だ。」

「キスして。」



ボンッ!!

煙でも上がるのではないかと思うくらい一瞬でシュラの顔が真っ赤になる。

あ、これも困った顔だ。

無言になってしまったシュラに笑いが込み上げてきた。

それに釣られてデスマスクも紫龍君も笑いだす。



「なっ、貴様ら…!」

「ふふっ。
ね、言った通りでしょう?
シュラってば分かりやすいのよ。」

「からかったのか…?!」

「そういう訳でもないんだけど…
ここでキスしてくれても良いのよ?」

「ゔ……」

「よし、今日の仕事は終わり!
デスマスク、これ提出しておいて。」



先ほどの書類をデスマスクに渡し席を立つ。

素直にそれを受け取りシュラに悪かったと一言添えた。



「サガにで良いんだろ?
それくらい構わねぇが、音夢はどうすんだ?」

「そうねぇ…
これからシュラと2人で続きでもしてこようかな。
キスの。」

「なっ!?」



首筋まで真っ赤になったシュラが眉根を寄せて私の口を手で塞いだ。

そのままズルズル引きずられながらデスマスクと紫龍君にバイバイと手を振った。





「もしかしてシュラを一番困らせているのは音夢さんではないだろうか?」

「いや、ありゃ案外シュラも楽しんでんだろ?
全くお熱いことで。」





(日本には蓼食う虫も好き好きという言葉があってだな…)
(ありゃ女神も裸足で逃げ出すレベルだ)

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