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□スキキライキライスキ
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黄金聖闘士なんだぞと言いかけたところで言葉に詰まる。

彼女は仁王立ちのまま真っ直ぐに俺を睨む。

怒りに染まった顔も、綺麗だ。

っていうか何も着ていない。

上から下まで、何も身につけていない。



「一応、もなにも黄金様だろう?
後味が悪くなるんでな。
貴様も忘れることだ。」

「だから俺にはミロって名前が…!
ってあぁ!
いーから服着ろよ!」

「………」



視線を反らす俺に彼女は何事もなかったかのように服を着る。

しばらくすると服を着て聖衣ボックスを持った彼女が俺の横をすり抜けていった。

咄嗟に腕を掴んで向き直させる。



「って、オイってば!
名前!」

「だから貴様には関係ない。
邪魔をするな。」

「ンだよ、そんなつんけんしてるとせっかくの美人が台なしじゃねぇか。」

「っ!!
放っておけ!
せっかく人が気を遣ってやったというに!」

「気を遣う?
その態度のどこが?」



あ、今イラッとした。

眉間と口元がひくりとシワがよった。



「貴様は聖闘士の掟を知らんのか?」

「一応俺も聖闘士だ。
全て暗記はしているが…
それより何処へ行くのだ?」

「だから貴様には関係ないと言っている!
もう放っておいてくれ!」



あ、ちょっと泣きそうだ。

俺、そんな泣かすような事言ってないよな?



「しかしだな…」

「貴様は黄金だろう。
私では貴様を殺せん。」

「どうして?
何故殺す必要があ」
「女聖闘士は素顔を見られた相手を殺さねばならん。
しかし私にはお前を殺せない…」

「見たところ白銀か?
なかなかの小宇宙だが…
まだ黄金を殺せる程ではないな。」

「青銅だ。
この際だから言ってやろう。
私はこれから教皇へ会いに行く。」

「教皇に?」

「そこでこの聖衣を返す。」

「どうして?」

「私にはもう必要なくなったからだ。」



聖衣が要らないという聖闘士は初めて見た。

普通ならば喉から手が出る程に欲しい物ではないだろうか?




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