short

□スキキライキライスキ
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―――ああ、暑い。

汗が滴る。

もう無理だ。



ガサリガサリ、草の道を進む。

汗で張り付く髪がうっとうしい。

しばらく歩いていると水の音がしてくる。

先日カノンから(サボりの)穴場だと教えてもらった。

奴め、こんな所でサボっていたのか…



「ん?」



川の流れとは違う水の音がする。

何か跳ねるような…



「っ、」



女性だ。

女性が水浴びをしている。

黒い豊かな髪が水に濡れて波打って煽情的。

しっとりと白い肌は太陽に照らされやけに官能的だ。



しばらく、おそらく時間にすれば数秒がとても長く感じた。

ふと彼女がこちらに気付く。

意志の強そうなブラックパールの瞳が俺を捉えた。



「お、まえ……は………」

「あ、えっと……」

「死ね。」



まるでそれが当然と言わんばかりに彼女の拳が俺に向かって飛んでくる。

恐ろしい程正確に心臓目掛けて。

なんとか避けたものの、これが青銅や白銀ならば貫かれていたかもしれない。



「――っぶね…」

「貴様……一体何者だ…?」

「俺は蠍座、スコーピオンのミロだ。」

「蠍座…黄金か。」



ギロリと睨まれる。

悔しそうに顔が歪んだと思えば踵を返した。


って、俺は名乗ったのにあっちはなしか?

礼儀がなってないにも程があるだろ!



「オイ、待てよ。
名前くらい言ったらどうだ?
大方お前も聖闘士か候補生だろう?」

「貴様に名乗る名はない。」

「あのなぁ!
俺だって一応」




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