side story 3

□僕の産まれた日
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「何故普通に一緒に出掛けると言わないんだ…!
言葉の暴力だ。」

「デートって単語をそういうふうに言う奴も珍しいぞ?
ってか氷河も誕生日になったら愛華さんとデートすんだろ?
それで良いじゃないか。」

「……長いな。」



遠くを見るような目で氷河が呟く。

うん、そろそろ放っておこう。


さて、何を着ていこうかな?

今から楽しみだ。







「愛華さぁーん!」

「瞬君っ、おはよう。
晴れて良かったね。」



いつもより可愛らしい格好の愛華さんが嬉しそうに手を振る。

まだ暑いからか、つば広のハットが印象的だ。



「まだ約束の15分も前なのに居るとは思いませんでした。」

「私はバスの関係でこの時間なだけよ。
瞬君こそ早いね。」

「僕はその…
やっぱりこういうの、待たせるのは失礼でしょう?
それに楽しみだから早く来ちゃった。」



そう言うと愛華さんも私もよとはにかんで言った。

こういう仕草一つ一つが可愛いと思う。

そりゃあ兄さんや氷河が好きになっちゃう訳だ。



「それじゃあ映画始まっちゃうし行こっか。」

「はいっ!
僕楽しみにしてたんだ。
前のシリーズ楽しかったから。」

「私も私も。
映画って一人で行っても良いけど、観た後に誰かと楽しかったねー、って感動を分かち合いたいんだよね。」

「分かる!
星矢達はそういうのがないんですよ。
あー楽しかった、じゃあ次どこ行く?みたいな。」

「寂しいよね。
いやいや、あのシーン凄かったじゃん?って思っちゃうの。
そういうのを語りたいんだよね。」



分かる分かると二人で盛り上がっていると映画館に着いた。

愛華さんはやはり会話が上手いなと思う。

こう言ってはなんだが、歳がそれなりに離れているのに会話が苦痛ではない。

むしろもっと話したくなる。

それは愛華さんが会話が上手いというより、聞き役が上手いのだろう。




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