紗葵花のおはなしリスト
□my sunshine*嵐
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その日、二宮は大野と共に夜勤だった
時刻は23時
巡回の時間だ
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二宮「巡回行ってきます」
大野「行ってらっしゃーい」
ひらひらと手を振る大野を後にし、自転車に跨がる
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片手に握られた地図には巡回の道筋が印されていた
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この時思えば、一人で巡回に行ったのは初めてだった
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二宮は地図を見ながら自転車を操る
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ふと前を見ると、黒い影
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よく目を凝らして見れば、小さな男の子だった
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向こうは気付いていない
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こんな時間になにしているんだ__?
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23時を過ぎているから、補導も出来る___
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何か遭ってからでは遅い__
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二宮は補導することにした
男の子に近付いて後ろから声を掛けた
二宮「こんな時間に何しているの?」
「…あっ…」
男の子は驚いたように振り返った
その顔は目が大きく、整っていた
身長は140くらい
歳は10歳ぐらいだろうか__
これがきみとの初めての出会いだった
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二宮「何しているの?」
また再び質問する
「えっと……あの……新人さんですか?」
男の子は質問返した
二宮は少々いらつきを感じたのか、
二宮「理由は?言えないの?」
男の子の質問を無視して、口調を強めて問い質した
「…えっと……」
なかなか答えようとしない男の子に痺れを切らしたのか、二宮はこう告げる
二宮「交番行こうか」
「えぇっ?!ちょっ…待って…」
あたふたしだす男の子の手を引っ張りつつ、
片手で自転車を押し、
交番へと向かった
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「…ちょっ…離してくださいよ…」
「話は交番で聞くからね」
二宮が交番の戸を開けると、何やら書き物をしている大野の姿が目に映る
大野「おかえり〜」
こっちも見ずにまた片手をひらひらとさせる大野
男の子には気付いていないようだ
二宮「先輩、補導しました」
大野「えぇっ?!」
二宮の言葉を聞き、やっとこちらを見た大野はクスリと笑った
大野「捕まっちゃったの?翔くん」
「…え…あ…あはは…」
苦笑いをする男の子は、
大野曰く「ショウくん」と言うらしい
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二宮「知り合いなんですか?」
状況が掴めない二宮が聞く
大野「知り合い…んー…知り合いっていうのかな?」
「えっ!?僕に聞かれても…」
大野にも「ショウくん」にも関係がよく分からないようだ
大野「まあいいんじゃない?ごめんね、翔くん。大切な時間邪魔しちゃって…」
「いえ……じゃあこれで…」
「ショウくん」は大野に軽く会釈をして、交番を出て行った
大野「もう翔くん補導ちゃだめだよ、ニノ」
大野は何故か二宮のことを「ニノ」と呼んでいる
その理由は二宮自身も謎である
でも今はそんなことよりも、
何故自分が怒られる羽目になったのか、分からない二宮であった
二宮「大野先輩、あの子…」
二宮には不思議でならなかった
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大野が言った「大切な時間」
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そして、補導しちゃいけない___
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何か引っ掛かる
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何かある
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大野「あの子はね、櫻井翔くんっていうんだ」
二宮「…だから翔くん…」
大野「そう。翔くんはね、
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夜の外しか知らないんだよ__」
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