short:)89

□浮気なんて
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ありえねー…よな…?








「みょうじの浮気相手、良太らしいじゃん」























意味わかんねー。



こないだとは違う奴からきいた。






良太が?みょうじちゃんと?




こないだ相談にのってもらったばかりだというのにそんなわけない。



だいたいそんな、浮気なんてしてないって言ってたし。




それでも、
浮気してるってゆう話をきいたのは一人じゃない。


また、不安になる。




しかも相手が良太だった場合、
なに?俺はふたりにだまされてるわけ?



いや、でも、
ふたりはそんな嘘なんてつくやつじゃない…。





でも、
確信は、ない。












浮気してるかも、と聞いてから、
俺はタケルにも相談してて、
ちょうど一週間くらいたった日に
野球部は練習が早く終わったのでタケルと買い物にいくことになった。





「ドウ、帰るぞー」


「おー」



タケルはなんでも話せる中というか、
良太とは違うまた良いやつで、
俺の話を親身になって聞いてくれる。

浮気相手が良太だという噂については本人に確認するわけにもいかず、
タケルに相談した。
























「え、りょーたが?」



「て、聞いたんだ…。でも、そんなことするやつじゃないよな?」



「うん」


「…じゃ、ただの噂か」

「おい、ドー」

「え?」




とりあえず夕飯を食べるために近くのショッピングモールのファミレスを選んでいたんだけど、
タケルが急に俺の名前を呼んだ。



そして無言で指を差す。
俺はそのほうに目を向けた。




すると目の前には信じたくない光景。


みょうじちゃんと良太が仲良くアクセサリーショップに入っていく。


急に心臓の鼓動がはやくなって、呼吸の仕方がわからなくなった。




「…ドウ、平気か?」

「っ、わかんね」



タケルの声に返答するのがやっとで、
まだ目の前の状況がのみ込めない。



みんなが言ってたのはほんとだったのか。


俺はふたりに嘘をつかれていたのか。


ふたりを信じていた分
そう思うと悔しさと悲しさと寂しさが一気にこみあげてきて
俺はその場から走り去った。

























しばらくするとタケルが俺に、
あったかいココアを買ってきてくれた。




「…落ち着いたか?」

「…さっきよりは」




噂といえども、人から聞いていた分少しはショックが和らいでいたんだと思う。



それでも裏切られたというショックは大きかった。


うつむいたままの俺の背中をタケルはそっとなでてくれた。



「みょうじに、正直に聞いてみれば?」


「…でもそれでみょうじちゃんが良太を選んだりしたら…」


「…ドウ、お前がみょうじのこと好きな気持ち、そんなちっさいもんじゃねーっしょ」


「っ、それは…」


「もし本当にあいつらが浮気してんなら、お前は良太をぶん殴ってやりゃあいいじゃん。な?」


「うん…」


「でもまだほんとに浮気だと決まったわけじゃないし、俺は、良太を…みょうじを信じたい。あいつらがお前のこと好きな気持ちは本物だって思う。」



「俺も…。信じたい。」







良太とは一年のときから毎日のように一緒にプレーをしてきた。
寮の部屋が隣同士だったこともあり、よく遊んだりもしている。
辛いときは一緒に悩んで闘ってくれて、俺の自主練にも付き合ってくれた。
もちろん恋愛相談だって、たくさんして自分のことのように聞いてくれアドバイスをしてくれた。


そんな良太がもし俺を裏切ってたなら、
今までのことは全部偽りだったのか。
でもそんなことはないはず。


あのまっすぐな眼差しは、ホンモノだったはずだ。





みょうじちゃんだって、
いつも俺を支えてくれた。

楽しいことや面白いことは全部、
みょうじちゃんがいたらもっと笑えたかなとか思ったりして、
悲しいことがあったら一緒に泣いてくれて、俺がスランプのときは一緒にがんばろうとか言って運動音痴なのに練習手伝ってくれたりして、
はじめても、何もかもみょうじちゃんと一緒だった。


あの時間が、偽りなわけない。
















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