GO!

□昔の話をしようか
1ページ/1ページ





 Once upon a time.
ある砂漠に一人ぼっちの蛇がいました。その蛇は、いつも一人ぼっちでした。
それは、蛇が望んだことではありません。蛇に恋をしてしまった風が神に願ったからです。
愛おしい人が、ずっと自分を待ってくれますように。ずっと、自分だけを見てくれますように。風の想いはとても強かったのです。それはそれは、蛇以外のものは視界に入らないほど。蛇だけを考えて一日過ごしてしまえるほど。
蛇だけを考えながら、風は大きな空を今日も昨日も明日も漂います。次は、いつ、蛇に会えるのかも知らないまま。
 
 Once upon a time.
大きな空を背景に、風は1人ぼっちに見えました。いつも風は1人で大きな空を漂っていました。
それは、風が望んだことでした。蛇と結ばれるのならば、自分はどうだっていい。一人ぼっちでもかまわない。蛇がいるから。そう、風は思っていました。
自分はいつ、また蛇の元へいけるか分からない。その間に蛇がどこかへ行きませんように。誰の元にもいきませんように。そう、風は願いました。
風のその願いは、かないました。

 Once upon a time.
蛇は苦しんでいました。
風を愛している。風のためならばこの身を捧げたっていい。それほど、風のことを蛇は深く愛していました。それはもう、風以外は視界に入らないほど。
けれど、蛇は苦しんでいました。寿命がきてしまったのです。老いたのかは分からない。風に恋をしてどれくらいの月日がたったか、自分でも分からなかったのです。
狭くなっていく視界。苦しくなっていく身体。だけど、心地よくなっていく。眠ってしまいたくなるような錯覚。だめだだめだ、本当に死んでしまう。風に再び会えないまま死んでしまう。いやだいやだ、そんなの、いやだ。
そのとき、蛇は願いました。風とまた話がしたい。一緒にいたい。会いたい。
蛇のその願いは、かないました。

 And it is the present.
風と蛇、いや、南沢と倉間はお互いに二度と離れぬといわんばかりに抱き合っていました。
やっと会えた。ずっとずっと探していた愛している人。
やっと触れ合うことができた。抱き合うことができた。
そして、2人は願いました。今世も来世も2人でずっと生きて生きたい。離れたくない。
2人の願いは、かないます。




 * *

祝倉南!…って、これ、倉南?



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ