時の彼方へ
□時の彼方ー平安ー
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「あっ、お待ちくださいっ!!」
どすどすど…廊下から聞こえてくるのは、使用人の女の声。そしてー
「いいじゃないですか。だって俺は」
う、と桜子は思った。なぜかというとこの声に聞き覚えがあったから。
だってこの、凛としたよく通る声は_
「さぁ、誰かな俺と結婚したくないって言うお姫様は?」
私の両親の前でも隠さず黒い笑みを私に向けている。
そう、桜子の許嫁。もとい、幼馴染の帝
´葵の宮光莉(ヒカリ)´
「な、なっなによっ!私は自由に生きたいの。あんたなんか好きじゃないんだからっ!!」
べーっと小さい口から下を出した。
ブチ。
例えるならこの音が似合うだろう。
そんな音が聞こえたような気がした
「ほぅ。いい度胸してんじゃねぇか」
すたすたスタ_
叔母さん。こいつもらっていくわ」
ひょいっと軽々と桜子を持つと。
そのまま肩に担ぎ、あまり丁寧ではない持ちかたをしたまま廊下を歩いて行く
「ちょっチョット!!
離してよっ!!いやっ!誰ーかーだれかーっ」
横切る使用人達はまるで、何もないかのようにスルーしている。
なんでっ!私は行きたくないのにっ!!どうして、助けてくれないの?!
そんな私の声を見透かしたかの様に
「声なんかかけたって無駄だろう。この縁談は最高だからな」
むぅー。と桜子はサクラ色に染まった頬をぷくっとさせて拗ねてしまった。
「分かりましたからこの状態を何とかして下さる?」
まず、この体制をどうにかして欲しい。使用人たちは桜子の声は反応しないが、この格好を見つけると、みんなしてぎょっとしているからだ。
「ん〜…。なんでだ?」
まーっ!こいつ本気で言ってるのかしら!?
「とっても、恥ずかしいからですっ!!」
「そうか?俺は、持ちやすくていいんだが」
ニヤッ(黒
どきっ
ーさっきの事気にして分かっててやってるんだわっ…!!ー
「別に、いいです」
ガタンゴトン。。。。
「そんなに怒るなよ〜」