時の彼方へ

□時の彼方ー平安ー
2ページ/2ページ

「あっ、お待ちくださいっ!!」


どすどすど…廊下から聞こえてくるのは、使用人の女の声。そしてー



「いいじゃないですか。だって俺は」

う、と桜子は思った。なぜかというとこの声に聞き覚えがあったから。

だってこの、凛としたよく通る声は_

「さぁ、誰かな俺と結婚したくないって言うお姫様は?」

私の両親の前でも隠さず黒い笑みを私に向けている。

そう、桜子の許嫁。もとい、幼馴染の帝
´葵の宮光莉(ヒカリ)´

「な、なっなによっ!私は自由に生きたいの。あんたなんか好きじゃないんだからっ!!」

べーっと小さい口から下を出した。

ブチ。
例えるならこの音が似合うだろう。
そんな音が聞こえたような気がした
「ほぅ。いい度胸してんじゃねぇか」

すたすたスタ_
叔母さん。こいつもらっていくわ」

ひょいっと軽々と桜子を持つと。
そのまま肩に担ぎ、あまり丁寧ではない持ちかたをしたまま廊下を歩いて行く
「ちょっチョット!!
離してよっ!!いやっ!誰ーかーだれかーっ」
横切る使用人達はまるで、何もないかのようにスルーしている。

なんでっ!私は行きたくないのにっ!!どうして、助けてくれないの?!

そんな私の声を見透かしたかの様に

「声なんかかけたって無駄だろう。この縁談は最高だからな」

むぅー。と桜子はサクラ色に染まった頬をぷくっとさせて拗ねてしまった。

「分かりましたからこの状態を何とかして下さる?」

まず、この体制をどうにかして欲しい。使用人たちは桜子の声は反応しないが、この格好を見つけると、みんなしてぎょっとしているからだ。

「ん〜…。なんでだ?」
まーっ!こいつ本気で言ってるのかしら!?

「とっても、恥ずかしいからですっ!!」

「そうか?俺は、持ちやすくていいんだが」
ニヤッ(黒

どきっ
ーさっきの事気にして分かっててやってるんだわっ…!!ー
「別に、いいです」
ガタンゴトン。。。。

「そんなに怒るなよ〜」
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ