*おそなえもの
□学
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「はじめまして、大崎架弥と申します。これから一年間よろしくお願いいたします。」
黒板の前に立ち、自己紹介をして丁寧にお辞儀をすると教室から拍手が沸き上がり、所々から自分に関してのひそひそ話が聞こえた。
何を話されているかなんて興味ない。
どうせやることが終わったらすぐに実体化を解いて社に戻るだけなのだから。
「じゃあ、大崎の席は丸井…あ〜…あの赤い髪の奴の後ろな。」
担任の先生に指定された席に視線をずらすと、つい先日大福を食べた例の赤髪と目が合った。
ぅわぁ…。
黙って歩き指定された席に座る。
女子からの視線が多く、鋭い殺気まで浴びせる子もいた。
…何もしてないのに。
鞄を机の隣のフックに掛けると、前から赤髪…確か丸井だっけが振り返ってきた。
こちらを見ていた一部女子からの殺気増加のお知らせ。
こっち見んな、前向け。
「俺、丸井ブン太って言うんだ。シクヨロっ☆」
何故かムカついたので、思いっきり睨んでやった。