光芒
□2008.06.03 18:17
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「キョーコ!」
玲明が嬉しそうに駆け寄る。
「来てくれたのね、うれしい!」
名無しさんの腕を取って無邪気に飛び跳ねる。
「お招きありがとう。玲明ちゃん。今日は私一人だけど、とっても楽しみだわ。」
名無しさんも微笑む。
すでにハルとジェバンニは会場入りしているはずだ。
もうすぐ日が沈む海沿いに建つ巨大なビルは日の光を反射して赤く染まっている。
先程、王孫新がテープカットを行ったビルの前は紙ふぶきやテープが残っているが、閑散としており、ついさっきまでの賑わいが嘘のようだ。
招待客のほとんどがすでにビルの中のパーティー会場に入っているので人もまばらだ。
名無しさんは少し離れたところにあるホテルの最上階を見上げた。
ニアとレスターはそこにいる。
そして空を見上げた。
この空をきっと日本で竜崎も見てるに違いない。竜崎…。
見送りはあっさり「気をつけてください。」だけだった。
別に何かを期待してた訳じゃないけど、少し寂しかったな…。
そんな事を考え少しぼんやりしてしまった。
「キョーコ、行きましょ。」
玲明に手をひかれて我に返り、名無しさんはビルに飲み込まれていった。