光芒

□2008.05.13 23:28
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「あれ?マット…くん」
「マットでいいよ。今いい?」
「うん、大丈夫よ。どした?」
「あ、イヤ、あの…さ。一人で飲んでもつまんねーし、一緒にどう?…かなーって」
「ふーん、いいね。どこで飲む?」
「じゃ、オレの部屋で。」



「どれ飲む?好きなのテキトーに出してくれる?」
「了解。じゃ、スクリュードライバーにしよっ」
名無しさんの部屋の下のフロアにあるマットの部屋。
造りは一緒だが、ゲームのコードやソフトが床置きされて狭く感じる。
部屋の中央のソファに座り、2人は早速飲み始めた。
「マット、パジャマっ子とチョコりんぼは?」
「ん?パジャマっ子ってニアのことだろ?チョコりんぼってメロか?」
ビールをグビッと飲み、タバコに火を点けながらマットが聞いた。
「うん、チョコばっか食べてる怒りんぼだからチョコりんぼ。なまじキレイな顔してるから迫力あるよねー。」
コンソメポテチをパリッと食べ、指をなめながら名無しさんが言う。
「ハハッ、うまいこと言うねー。チョコりんぼかー、メロが聞いたらどんな顔するかな?」
「銃向けられるよー、内緒にしてね。」
笑いながらチビチビと飲んでいる名無しさんに、マットはゴーグル越しに視線を向けた。

…こうしてると普通の女だよな。髪に刃物仕込んでるとは思わないし。
あの手で何人も殺してるなんて。殺しのプロ、か…。

「…ット、マット?」
ハッと気づくと名無しさんが不思議そうな顔。
「あぁ、わりぃ、ぼーっとしちゃった。」
「もう酔ったの?」
「名無しさんちゃんだって顔赤いぜ。ところでそれ着物?しぶいね」
名無しさんは藍色の絞りの浴衣を着ていた。
「これは浴衣。母の形見なの。寝る時にはいつもこれだよ。」そう言って少し乱れた襟元を直した。
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