お題
□拗ねる
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『ね、ごめんってば。機嫌直してよ。』
白ひげ海賊団の一室、2番隊隊長エースの部屋で、私はずっと謝り続けている。
肝心の部屋の主はそっぽを向いて全然口を聞いてくれないけど。
私がマルコ隊長にエース隊長の愚痴を聞いてもらってたのが悪いんだけどさ。
でも、別に本気で言ってたわけじゃないし…。私のご飯も奪うとか、真面目な話の途中で寝るとか、海軍に躊躇無しに挑むとか、そんな世間話に近いもの。
たまたまエース隊長が通りかかって聞かれちゃったんだ。
そしたら顔をしかめて部屋に戻っちゃったから、慌てて追い掛けて今に至る。
そもそも私、エース隊長を嫌いなわけじゃない、ていうか、好きだもん、こんな反応されると思わなかったんだよ。ちょっと叩かれるとか、そんな感じで終わると思ったのに。
『エース隊長〜悪かったって。』
「…心が込もってねぇ。」
あ、やっと喋ってくれた!
『本当に申し訳ありませんでした!もうマルコ隊長にエース隊長の愚痴は言いません!』
「………が、いいのか…。」
『え?』
エース隊長にしては珍しく、ボソっと俯き加減で何か呟いた。
「…だから、名無しはマルコがいいのかよ?」
『…はっ?』
マルコ隊長の方がいい?
私が?
あのパイナップルを…??
『どういうこと?勝手に思い込まないでよ。』
「だってお前!さっきマルコに"マルコ隊長の方が良かった"って言ってたじゃねーかよ!」
…言った。確かに言ったけど。
『それはあれだよ、言葉の綾?みたいなさ。本心じゃないって〜。』
「……本当か?」
『当たり前じゃん!私はエース隊長が一番だよ!』
もしかして、それで拗ねてたの?
「ならいいけどよ…。
名無し、俺には敬語使わないし、言うこと聞かないし、嫌われてんのかと思ってたんだけど。」
『それは、その方が距離近い気がするじゃん。
私、エース隊長のこと、尊敬してるし大好きだよ。
エース隊長が敬語使えって言うなら使うし。』
私なりのアピールだったんだけど、気付いてなかったんだ。
「いや、ならいい!
俺は名無しが離れちまうのかと思ってさ。」
『ないない!私はずっと2番隊だよ!』
「おう!」
(やれやれ、仲直りしたみたいだねい。)
(あの二人はお互い素直じゃないからな〜。)
拗ねる
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