お題
□膝を抱え開くのを待つ
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ガチャッ
「あ…。」
男女混合体育の後、私と黒子くんは先生に頼まれてボールを倉庫に片付けていた。
かごから落ちて奥に転がっていったボールを追い掛けて手に取った瞬間に、鍵を閉めたような音がドアからきこえた。
『く、黒子くん、もしかして鍵閉められた…?』
ドアのあたりにいたはずの黒子くんに確認をとる。
「はい。僕に気付かなかったみたいで…。
すいません。」
黒子くん影薄いからか…。
目の前にいるのに気付かれないって…切ない!
『ううん!黒子くんのせいじゃないよ!
私がボール落としたのが悪いんだし…。』
「いえ、名字さんのせいではありません。」
まあどっちのせいでも無いとは思うんだけど…。
まずこれからどーするか、だよね。
『扉を壊す…のは無理だし。』
「ですね…。」
『うーん…。』
「…名字さんがいないことは誰かそのうち気付くと思います。
なので、僕達は待ってるだけでもいいと思いますよ。」
『黒子くんがいないことだって絶対気付く人いるもんね!』
「いえ、僕が気付かれることは…。」
『黄瀬くんとか青峰くんとかさつきちゃんとかは気付くと思うけどなあ。』
「………だといいですね。」
『うんっ!』
むしろ私より早く気付くと思う。
だっていつも黒子と一緒にいるもん!
『じゃーせっかくだし、話しでもしながら待ってようよ!
黒子くんとは前から話してみたかったんだよね〜!』
「僕と…?
そんなこと、初めて言われました。」
『黒子くんって、結構読書家でしょ?私も本好きだからさ、いつか本の話しとかしたかったんだ!』
「名字さんも本好きなんですか…!」
あ、黒子くん嬉しそう!
『うん!この前黒子くんが読んでた本私も好きでね、続編も持ってるの!』
「ほんとですか!?良かったら今度借して下さい!」
『もちろん!明日持ってくるね!』
膝を抱え楽しく開くのを待つ
(それでこの前読み終わったこの本なんですが!)
(あ、それ1回読んでみたかったんだよね!)
title:雲の空耳と独り言+α
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