本家のあまのじゃく
□今はまだ
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<秀元side>
最近僕はお気に入りの人がいるんや。
それはちょっと前に出会った名無しという妖なんやけど!あ、人じゃあらへんかったわ。
彼にはどこか人を魅了する才能があると思う。
もちろん妖も含めてな。
夜になればひょっこり現れてウチにある食べ物を食べてたりする(もう少し量を考えてほしい)少し変わった妖なんやけど、普通に話は通じるし悪さしとるわけでもないから気付いたら結構仲良くなっとった。
お互いの事を話すうちに彼は僕にかなり好意的なことが分かったり(組の妖達にはそれなりに容赦あらへんかった)、僕は彼に興味以上の感情が沸いてきていた。
もっと名無しちゃんと一緒にいたい、なんて思ったことは1度や2度じゃあらへんけど、いつも夜しか来てくれんかった。
それでもまあ名無しちゃんは妖やし仕方あらへんよなあ、と自分に言い聞かせて過ごした。
理由を聞いて彼を困らせたりはしたくなかったからな。
名無しちゃんは容姿も完璧やけどそれ以上に心に惹かれる。
この部分、という明確な理由は無いんやけど、気付けば僕はすっかり名無しちゃんに執心やった。
会ってそれほど時間が経っていない僕ですらこうなんやから、きっと名無しちゃんの周りにいる妖らも虜になっとるんやろなあ。
あまり考えたくない事やけど。
そんな彼が僕といることに安らぎを感じると言った時は凄く驚いたし嬉しかった。そんな素振り見せへんかったけど。
彼と僕は男。
それが多分僕を一番悩ませたことだと思う。
僕は名無しちゃんやったら性別とか全然気にせえへんけど、彼がどう思ってるかは分からんからな。
ただでさえ妖と陰陽師っちゅう壁があるしなあ。
でも、
『秀元、来たぜ。』
こうして僕のとこに来てくれる彼との関係に今は満足出来てるし、崩したくないから、まだそれはハッキリさせんでもええのかな。
今はまだ
(待っとったで〜!)
(何か説教されててよ。マジ鴉声出なくなればいいのに。)
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