進め!
□あいつの試合
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<さー!いよいよ注目の名無し選手の試合です!ここまで圧倒的な勝利を納めてきた彼女は、この試合でも余裕そうな表情です!対するリバー選手はとにかく頑丈!これまでどんな攻撃にも微動だにしませんでした!さあこの試合、どうなる!?>
やっと試合が始まる。
さて、あいつはどんな念を使うのかな。
聞いても教えてくんねーし。
ま、勝手に当ててやるからいいけど。
名無しの武器はハンマーだった。
ちょっと意外。
相手の男は…
確かに、いかにも屈強そうな奴だ。勝てるのか?
名無しって、ぶっちゃけ弱そうなんだけど…。
あ、俺に手ぇ振ってる。
相手怒ってんぞ、前見ろ。
「始め!」
さ、名無しはどう動くのか―――――!?
ドゴオオオン!!
<何とぉ!?名無し選手、開始と同時に素早くリバー選手の背後に回り、巨大ハンマーでぶっ飛ばしたぁぁ!!リバー選手、場外に飛ばされたまま動かない!>
おいおい、マジかよ…。
何であの腕であんな力が出るんだよ!?
しかもあの男、動かないぜ!?
下手すりゃ、意識が無いんじゃ…。
「続行不能!よって、勝者は名無し!」
『イエーイ!!』
速すぎねえ?
30秒も経ってないけど…。
観客もポカーンとしてるよ。あいつは気付いてないが。
…念は特に、使って無かったよな。
あいつ、いつもは馬鹿やってるのに戦闘になると別人だ…。
目が違う。あれは、人を殺すのに何の躊躇いも無い目だ。よく知ってるぜ。現に俺もそうだし。
まあ、普段はほんとに只の馬鹿で阿呆なんだろうけどさ。今だってへらへら観客に手振ってるし。
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