時の旅人

□第五章
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あれから町は戦場と化した。
真選組と鬼兵隊との正面戦争はすさまじいものだった。
刀と刀がぶつかり合う音、刀が肉を切り裂く音、銃が放たれる音、そしてそれぞれの雄叫び声。




「ククク、昔を思い出すなァ?銀時ィ?」




この場にあのガキがいねェのが残念なくらいだ。
アイツは俺らがテロリストに見えねェっつった。
だから今日、挨拶程度に真選組を殺るつもりだったんだが…途中でいなくなりやがってあのガキ。




「何考え事してんだよっ!」




銀時の振り下ろされる木刀を刀で受け止め喉の奥で笑う。




「ククク、てめェと違って俺ァ考えることがあんだよ」

「俺だって考えることぐらいあるわァアア!!」




頭ん中も天パ同様クルクルパーのくせして何言ってやがる。
ジリジリ交じり合う刀は力の差が悲鳴を上げている。
そしてそのまま銀時は力任せに俺を薙ぎ払った。




「チッ、馬鹿力は相変わらずだな」




だが白夜叉の時のようなキレはない。
……やはりコイツの中の白夜叉はもういなくなったのだろうか。




「…もういい、てめェはここで死ね」

「殺れるもんなら殺ってみやがれ!」




再び刀の交差が始まる。
俺の刀は銀時の皮膚を切り裂き、銀時の木刀は俺の服を切り裂く。
そして何度目かになる刀の交じり合い。
だがその時、俺ら二人に影がかかった。




「「!」」

「高杉ィイイ討ち取ったりィイイ!!」




俺の背後から刀を振り上げるのは真選組一番隊隊長沖田総悟。
今刀は銀時と混じりあっており、振り上げれば銀時に斬られてしまう。





「晋助っ!!」

「晋助様ッ!!」

「高杉さんっ!!」

「チッ!」




その隙に沖田は刀を勢いよく振り下ろす。
肩ぐらいはくれてやる覚悟で痛みを待ったがいつまで待っても痛みはこない。
代わりに聞こえたのは金属と金属が交じり合うキレのいい音。




「ったく、喧嘩はタイマンが基本なの江戸っ子は知らないわけ?」

「てめェ…」




俺の目に入ったのは俺と沖田との間に入ったのは刀で沖田の刀を受け止めるガキの後ろ姿だった。

















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