時の旅人

□第七章
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「そうね…そうしようかしら」




にこっと笑って沖田に向かえば沖田もふっと笑みがこぼれた。





「そうですかィ。そいつはよかったでさァ」





周りが戦場の中、そこだけがまるで別空間のように柔らかい空間になっている。
万斉やまたこちゃん、武市に高杉はこの会話を聞いているのだろうか…
聞いていたら…やっぱ怒るのかな…?




「正しい判断ですぜ、凪」

「そう、これは正しい“答え”」




間違ってなどいない。





「ただし“一般人”としての、ね」

「!?」

「生憎私は“一般人”じゃなくて“テロリスト”なの」

「凪…」

「悪いわね」

「理由を、聞かせてくだせェ。そこまで高杉にこだわる理由を」

「理由、か…そんなたいそうなモンじゃないのよ。
出会いだってそんないいもんじゃなかったしね…
私が(無意識だが)ちょっと口走ちゃってさ、アイツはアイツでそれで刀抜くし、
性格なんて俺様で自己中でしかも肺がん予備軍ときた。
学習能力が足りないせいか何回言っても人の頭を刀で突くし
おまけに私がゲテモノが大嫌いってこと知ってるくせに今回みたいな性質の悪いからかいだってこれからもするだろうしさ。
それに加えて職業はテロリストときた。ホント、命がいくつあっても足りないわよ」

「………」





それならなぜ…と沖田が視線で語ってくる。
私はふっと笑って刀を握る手を見た。





「でもね、この手を一番に引いてくれたのは沖田でも真選組でもない、高杉なんだよ」

「………」

「あたり前だけど突然現れた私を不審者扱いで少なからずテンパってた私に、まぁやりあいながらだったけど『鬼兵隊に入れ』ってアイツは言ってくれたんだよ」

「………」

「ここでの“居場所”を高杉は私にくれたんだ」

「………」

「だから私の“居場所”は鬼兵隊で…高杉の隣だ」

「………そうですかィ」





沖田は少し残念そうな顔をしていたがどこか柔らかな表情を浮かべていた。
そんな空気をぶち壊すように高杉と銀髪の男が乗り込んできた。














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