09/20の日記

17:32
マーキング(カイオエ、オメガバース風)
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「カインと仲良くやってるみたいですね。」

「…あ、うん。」

「番でセックスをすると、お互いのフェロモンが体に染み込むらしいですよ。」

「そうなの?」

「Ωやβはあまり気付かないみたいですが、αは鼻が利きますからね。まぁ『これは俺のだ』って言うマーキングみたいなものらしいです。」

オーエンの頬が薄く赤みを増す。

「たっぷりマーキングして貰ってくださいね、悪い虫がつかないように。」

「ぅ…ん…。」

あはは、とミスラは笑う。

その時「オーエン」と明るい声がした。



「ミスラと何話してたんだ?」

「えっと、そんな大した事は話してないよ。」

「内緒話なんて、ちょっと妬けるな。ミスラには世話になってるし信頼もしてるけど」

「カイン…?」

ぐっと抱き寄せられたかと思えば頬が触れ合って、気持ちが良い。

「オーエンは、俺の番だろう?」

「うん、僕は、カインの、だよ。」

「それなのに、他の男と内緒話なんて、酷いと思わないか…?」

カインは何度も啄むように口付けながら、オーエンの唇を甘やかす。

正面から抱き込むようにして、優しく囁きながら耳や頭を撫でていくとオーエンはピクンと震えながらカインに甘えるように擦り寄った。

触れる場所が温かくて、気持ちが良くて、少しくすぐったくて…でも、離れたくない。

身体中がキュンと疼く。

「っん…番が、ぁ…その…っあ‥セックスを、すると…っ‥お互い、の‥フェロモンが、体に、染み込むん、だって…だから、ぁ‥カインに、沢山、マーキング…してもらえって‥ッン‥…みゅぅ…」

急に深く口付けられて、子猫のような声をあげた後…たっぷり焦らされていた分オーエンは必死にカインの舌を受け入れる。

ちゅく、ちゅぷ、と唾液が絡んでは次第に甘く、そして粘度が出てくるのがわかった。

オーエンの薄い舌をカインの厚めの舌が絡めて、チュゥッと吸われると「ンゥー…」とオーエンから鼻にかかった甘えた声が漏れる。

体が熱くて、全身がカインだけを感じて、どんどん敏感になっていく。

ようやく唇を解放されて、唾液が糸を引いた。

「トロンとして可愛いな、オーエン。感じてるのか?」

カインの瞳が優しく細められる。

「たっぷり、マーキングしてやるからな…?」



シャツのボタンを丁寧に外して、現れた白磁の様な胸元を撫でてやると‥それだけでオーエンは生理的な涙を溢した。

指で掠めた淡く色付く乳首は直ぐに健気な主張をして、カインは其れを唇であやす様に食む。

「ぁ…んぅ…っ…カインっ…あ、はぁっ…だめっ…僕、もぅ…いっちゃうよぉ……」

「ん、そうだな。焦らしてごめんな?」

泣きそうな顔のオーエンに優しく口付けてズボンと下着を脱がせて、自分も脱ぐ。

「カイン…カイン…離れちゃ、やだ‥」

「大丈夫、直ぐに繋がるよ。」

もどかしそうにしているオーエンの脚を開かせて抱えると、潤んだΩの秘孔に張り詰めた楔を挿入していった。

「んあぁぁ…っ…あっ…」

優しく、甘く、深く繋がって、オーエンはひたすら甘えた声を上げる。

「カイン…っ、ぁっ、ぁっ…ふぁぁっ…!!」

オーエンは何度も身体を跳ねさせて、その都度カインを締め付けた。




「マーキング、出来たかな…?」

「ぁ…ぅ…し過ぎ、だよ…」

クタクタのトロトロになりながら、互いに唇を合わせてじゃれ合う。

数日後、オーエンに会ったミスラが何故か対抗心を燃やしてルチルが被害に遭ったのは別のお話だ。






おわり

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17:31
スノウとカイン、ホワイトとオーエン
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夜。

カインは厄災に照らされる薄暗い森の中を急いでいた。


騎士団長を退き、魔法使いとして慣れない魔法舎での生活と城務にてんやわんやしていたカインは久しぶりの自由な時間を鍛練に費やしていた。

鍛練といっても嫌いではないので張り切っていたら、あろう事かガッツリ夜まで外で寝てしまっていたのである。

懐中時計は23時を目指していた。

漸く魔法舎に着いたものの、新たな問題に直面する。

「嘘だろ…鍵掛かってる…?」

窓から中を覗くまでもなく、一階の明かりは落ちている。

こうなったら一階の部屋にいる誰かに頼もうかとも思ったが、時間も時間…しかも召喚されて日が浅いカインは誰がどの部屋か殆んど覚えていなかった。


召喚された日に挨拶はしたが、カインと同様に新顔も多かった。

フレンドリーな魔法使いもいれば、気難しそうなタイプもいた。

「…参ったな…朝まで待つか…?」

「可哀想だね、騎士様。誰にも気付いてもらえないまま閉め出されちゃったんだ?」

「っ…オーエン!?」

いつの間にか背後に現れたオーエンにカインは素早く間合いをとる。

「君は魔法舎に居たり居なかったりするから、誰も不思議に思わなかったみたいだよ?居ても居なくても同じだなんてね、可哀想に。」

「…お前は何してたんだ、こんな時間に…」

「閉め出されて困ってる哀れな騎士様を見に来たんだよ。僕は君が今日は鍛練に出かけているのを知っていたからね、外で気配がしたから出てきたんだ。僕は君と違って扉なんか無くても出入りが出来るから…」

その時、バタン!と玄関の扉が開いた。

そして

「コラァ!オーエンちゃん!また勝手に外に出て!!」

「脱走したらダメって言ってるのに、ちょっと目を離したら!夜は勝手に外に出ちゃダメなの!!」

声の方を見ると北の双子の魔法使いがいた。

「…脱走…?」

「うるさい、僕は北の魔法使いだ。いつ何処に居ようと僕の勝手だろ、指図しないで。」

「またそんな事を言って…お主は北の魔法使いじゃが賢者の魔法使いでもあるんじゃよ?」

「それにオーエンちゃん、この間も勝手に北の国に行ったきり帰って来んかったではないか。いい加減にしないと部屋に閉じ込めるよ?」

「そんな事したら魔法舎を破壊して北の国に帰ってやるから。ついでにお前達の町もケルベロスの餌食にしてやろうかな?」

スッと双子の姿が青年に変わる。

ピクッとオーエンが反応したのがわかった。

「スノウや、オーエンは良い子かの?悪い子かの?」

「そうじゃなぁ…ちょい悪、かな?」

その瞬間「ノスコムニア」と呪文が静かに響く。

オーエンは易々とホワイトに抱えあげられ、魔法舎の中へ。

「離せよ!下ろせ!」

「もー怒ったもんね、オーエンは暫く朝昼晩、我らと一緒に過ごしてもらうからね。」

「は?!嫌に決まってるだろ!僕はちょっと庭に出ただけ!お仕置きなら騎士様にこそするべきでしょ?!こんな時間にうろうろして!脱走しようとしてたんじゃないの!」

文句を連ねながら子供のように駄々をこねるオーエンを担いで、ホワイトは階段を悠々と歩いていった。

「あ、あの…すいません。今日は非番で、森の方で鍛練してたんですけど…そのままガッツリ寝てしまって、帰りが今になりました…。」

「ホッホッホ、いや我らこそ気付いてやれんで済まなんだ。オズがよく魔法で城と行き来しておる故、てっきり…しかし鍛練とは感心じゃな。」

「俺は魔法使いとしては未熟です、他の皆より出遅れてます。強くなって、オーエンから目玉を奪い返す為にも…勿論、厄災とまともに戦う為にも頑張らないと。」

宣言と同時にカインのお腹が鳴る。

「ホッホッホ、我の部屋へ行こうか。紅茶とお菓子とちょっとしたパンくらいはあるぞ。」

「ありがとうございます!」

スノウとカインも5階へと向かった。

オーエンの部屋も5階だったな、と思いながら少し緊張して廊下を歩くと…

オーエンの部屋から僅かに話し声が聞こえる。


スノウは静かに笑いながら、カインを部屋へ招いた。


小さめの保存庫には数種のハムやソーセージにバターとチーズ等があった。

「我らも夜食を食べたりするのでな、ちょくちょく用意しておるんじゃ。」

魔法で用意されていく肉の香りと、バターとチーズの匂いは腹ペコの期待をMAXにしてくれた。

スノウが用意してくれたサンドイッチと優しく香るキームン紅茶を頬張る。

「カイン、そなたにも事情はあろうが…オーエンも悪い子ではないんじゃ。ちょっといき過ぎるところはあるが、根は割りと素直で少し単純な可愛い子なんじゃよ。」

「可愛い…ですか…?」

「うむ、我らからすればの。北の子等は殆んど一人で長い時を過ごす故に人付き合いがド下手でな…特にあの子は本当に一人だったみたいでの、誰かに触れられたり、近付かれる事に慣れておらん。

天邪鬼で捻くれ者で、その癖に構ってちゃんで甘えたがりな所もある。」

「甘える?!アイツが?!ですか?!」

「ホッホッホ、きっと今頃ホワイトに駄々をこねておるぞ。先ほど話し声が聞こえたであろう?オーエンはどちらかと言うとホワイトに懐いておるし、ホワイトもオーエンを可愛がっておる。今頃、笑いながら宥め透かしておろう。」

信じられない、とカインは紅茶を啜る。


「やたらと騎士に執着しておる。理由はわからんが、カインを見つけた時は物凄く喜んでおった。そなたに構うのもオーエンなりのコミュニケーションのつもりなのやも知れん、基本的には無関心な子じゃったからの。」

「…コミュニケーションで目玉を取られちゃ困りますけどね…」

「ホッホッホ。そうじゃな、そこに関してはいずれ決着をつければ良い。しかし、オーエンは1000年を越える魔法使い…強いぞ。

そなたは未だ若い、オーエンからすれば赤子同然じゃ。努力だけではどうにもならぬ事もあろう、どうしても困った事があれば差し支えない程度に相談に乗るぞ。」

「ありがとうございます。」


やわらかな香りに包まれながら、カインはスノウとの遅いお茶会を楽しんだ。


ーーーーーーーーーー


一方、その頃のオーエンはホワイトに連れられた自室のベッドの中にくるまっていた。

その口からはぶつぶつと文句が呪詛のようにあ漏れている。

「本当、最悪。絶対ここを抜け出して賢者の魔法使いなんか辞めてやる…大体、僕はホワイトの代わりに召喚されたんでしょ?ホワイトがいるなら僕は居なくても良いと思うんだけど、本当意味わかんない。賢者の魔法使いとか興味ないし、厄災だってどうでも良いし、オズも居て、双子先生も居て、ミスラと序でにブラッドリーまで居るんだから僕一人くらい居なくても良いじゃない。というかお前達と一つ屋根の下とか信じらんない、あり得ないんだけど。ほんと何なの?おまけに北の国に帰ったら駄目とか夜に外出ちゃ駄目とか、もうやだ、帰る。」

「うんうん、そうじゃな。オーエンは北の国が好きじゃもんね、帰りたくなるのも仕方ない。でも賢者の魔法使いとして厄災と戦うにしても、オーエンの力は必要なんじゃよ。オーエンにしか出来ぬ事もあるじゃろう?」

「なに…狼退治?」

「狼は勿論、オーエンは動物や魔物と話せるじゃろう?先日の任務も助かった。」

「じゃあ必要な時に呼んで。」

「歌も上手じゃし。」

「賢者の魔法使い関係ないでしょ。僕は悪い北の魔法使いだよ?これじゃ悪い賢者の魔法使いになっちゃうけど、良いの?」

「ホッホッホ、それは困るが…オーエンは良い子じゃよ。良い子じゃから、今宵はおやすみ。」

ゆっくりと頭を撫でられれば、自然と瞼が重くなる。

「あ、言い忘れておったが…明日、任務あるからよろしくね。」

「(早く言って!僕は行かないからね!!)」

そう叫びたかったが、意識はもう眠りの扉へと吸い込まれていった。





おわり












これはスノウとホワイトが殺し合いをした後の事である。

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17:31
弱点(ブラオエ)
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「(ない。ない、絶対にあり得ねぇ。)」

ブラッドリーは自分に言い聞かせるように、そう念じた。

しかし、いくら念じた処で何も変わらない。

絶対にあり得ないと思っていた事が今現在進行形で起こっているのだ。

まさか自分にこんな日が来るとは思わなかった。

自分が、オーエンを想うなんて。

どっかで呪いでも拾ったか、はたまた誰かの嫌がらせか……しかし、幾ら考えても『違う』という答えにしか辿り着かない。


「口に合わなかったか?」

そう声がかかって顔を上げると、ネロが不思議そうな顔をしていた。

どうやらメインディッシュのチキンティッカを見つめたまま考え込んでいたらしい。

ヨーグルトに玉葱の微塵切りを加えたものに漬け込んだ肉は柔らかい。

宇宙鳥の皮を丁寧に炒め、その油でじっくり揚げた上でサッと二度揚げしたらしい。

皮目はパリッとして肉はしっとり、噛むとジュワジュワと肉汁が溢れる。

生クリーム、ヨーグルトに刻んだローズマリー、タイム、ホースラディッシュ、ディルを加えたソースはさっぱりとしていて鼻腔を抜けていく。

「あ…いや、美味いぜ。ちょっと考え事してたわ。」


「お前が考え事ねぇ…悪巧みしてんじゃねーだろうな。」

「そっちの方がよっぽどマシなんだがな…ネロ、おかわり。」

「はいよ。」

キッチンへ消えていくネロを見送り、ブラッドリーは悩みの原因を見やる。

普段は好んで肉を食べないオーエンだが、今日はモグモグと嬉しそうに食べている。

リーフレタスとラディッシュに群生檸檬の果肉を和えたサラダには、ブラッドリーの皿にもあるヨーグルトのソースがかかっている。


オーエンの食べている肉はチキンティッカとは違うようで、適度な薄切りにした宇宙鳥の肉を焼いてあるようだ。

皮目の方にセサミと蜂蜜をまぶして焼く事で、蜂蜜がカラメル化してほろ苦くも甘い風味豊かに仕上がるらしい。

さっぱりとした鳥肉と甘い蜂蜜を使ったそれは、甘いものが好きなオーエンのお眼鏡にかなったと見える。

「なに、あげないよ?」

「あ?」

「さっきから見てるだろ。」

「あー…別に欲しくて見てた訳じゃねぇよ。つーか、その量でも顔にソース付くんだな。」

オーエンの鼻の頭と頬に付いたソースをナフキンで拭ってやる。

無意識だった。

いや、本当に。

自分でも驚いたが、拭われた側のオーエンも目を丸くしている。

「どうしたの、ブラッドリー。」

「……何となく。」

「そう…まぁ、良いけど。」

そう言ってオーエンは食事を続けた。


事が起きたのは風呂の後だ。

特に時間が決まっているわけでもなく、示し合わせているわけでもないのだが…ミスラとオーエンとブラッドリーは一緒に風呂に入る事が多い。

大概は部屋で柔軟をするらしいミスラが南の魔法使い達と入り、そのまま2時間近い長湯をする。

そうして水を浴びる頃にオーエンが入って30分程、次いでブラッドリーが入ってきて小一時間したら3人で上がる感じだ。

今日もそんな流れで風呂を上がった。

一階のミスラと分かれて、オーエンと5階へ昇る。

魔法で行く事も勿論出来るが、何となく二人で階段を上がっていく事もある。

大概の事は魔法で何とでもなるというのと、北の国では気のみ気のまま『寝る』というより『仮眠』くらいしかとらなかった。

眠るという習慣が然程なかったが、魔法舎で暮らすようになって『眠る』という時間を過ごすようになった。

それに伴って寝間着というものを調達したらしいオーエンは淡いラベンダー色の寝間着を着ている。

ラベンダーの他にもダークブルー、オフホワイトの薄手の寝間着。

冬になればフワフワの生地で作られたライトブルー、ワインレッドの寝間着。

何故知っているのかは、ブラッドリーがオーエンを意識した結果だ。

ルチルが作ったらしいシャンプーはクラリセージで、甘美な匂いがする。

オーエンはよく『死人のような青年』と例えられる。

初めてその通り名を聞いた時は『何を大袈裟な』と思ったが、実際に会ってみれば『本当に死人なんじゃないか』と思うほど。

北の国の雪も、氷も、厚い雪雲も、凍てつく風も…

悔しい程に、その全てが似合う男だと思った。


魔力が格上だというのはすぐに判ったし、北で有名なミスラとは違う危うさもあった。

「(あん時は狼連れてたな…)」

北の極寒、静寂、そのものの様な雰囲気に鳥肌が立ったのを今でも覚えている。


それが今や一つ屋根の下、同じ階の住人で、風呂にも一緒に入るし、毎日目の前で甘いものを頬張っているわけだ。

まあ、毎日こんな事を考えていれば1階から5階への距離などすぐだ。

「ねぇ、何処までついてくる気?何か用があるの?」

「あ‥?」

そう言われて我に返る。

いつの間にか自分の部屋を通り過ぎてオーエンの部屋の前まで来ていた。

覗き込むような仕草、紅い瞳と騎士の兄ちゃんから奪ったらしい蜂蜜色の瞳。

まだ少し湿っている灰銀の髪は、あの時の美しい狼を思い出させる。

「(ミスラといい、オーエンといい…顔だけは良いんだよな…)」

「ブラッドリー…?……わっ…!?」

気付くとオーエンの部屋に押し入るようにして入っていた。

「ちょっと!何!何するんだよ!」

オーエンの腕を引いて、ベッドへ押し倒す。

魔力じゃ敵わないが、力と知恵なら勝てる。

「お前っ…急に何なの!殺されたいの!?」

呪文を唱えようとする口を塞ぐ。

噛まれないように指も押し込んだ。

「んぐっ…んーっ!」

抵抗を押さえ込んで、オーエンの匂いに酔しれる。


戸惑った様な、怒った様な瞳は徐々に熱を帯びていて…そっと甘やかすように唇を吸ってやると、抵抗が弱まっていく。

寝間着の上から指先に触れた小さな乳首が硬くなっていて…それを摘まんで捏ねてやると、もどかし気に甘えた声が漏れる。

「んっ…んぅ…」

イヤイヤとオーエンが頭を振る度にクラリセージの香りが漂う。

女を抱いた事はあるが、何故だか自分の下にいるオーエンの方が余程そそる。

「(絶対ねぇと思ったんだがな…)」

乳首を捏ねて、キスで甘やかしてやる。

次第にオーエンの指がブラッドリーの服を掴むようになり、力が抜けていく。

代わりにオーエンの股間に熱を感じて、膝でそっと擦ってやれば「んんん…っ」と切ない声がした。

「やっ…お、まえ、何、ぁっ…考えて…っ……」

「さぁな…嫌なら吹っ飛ばせよ。」

「…っ…」

「出来ねぇか。気持ちいいもんな?」

「…んぅ……っ」

睨んでくる蕩けた瞳から溢れた涙に口付ける。

「(俺も相当…)」

先程から窮屈そうにしている熱を自分の物と一緒に擦ってやれば、色素の薄いオーエンのソレは健気に蜜を溢して達した。



すっかり草臥れて寝てしまったオーエンの身なりを申し訳程度に整えて、自室に戻る。

「…どうすっかな…」

ブラッドリーは氷と酒の入ったグラスを用意し、酒の中で揺れる氷を静かに眺めた。









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17:31
名前で呼びたい(オーエン→カイン前提、北3)
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「ねえ、前から思ってたんだけど。ミスラはいつから騎士様の事を名前で呼ぶようになったの?」

昼食前の一時、特に任務もない時間を其々が自由に過ごしていた。

北の魔法使いも同様で、談話室には特に待ち合わせた訳でもないのだがミスラ・オーエン・ブラッドリーが顔を合わせている。

正確には昼食までゆっくり寛ぎたいと談話室へ向かったブラッドリーが暇していた先客のミスラと鉢合わせ、逃げる間も無くアルシム(強制的話し相手に)された。

少しして窓から下を見た先に小鳥達と戯れていたオーエンが発見され、此方もアルシム(強制参加)されたのだった。

先日シャイロックを始めとする西の魔法使いと南の魔法使い達が賢者と留守にしていた際、オーエンとブラッドリーは鉢合わせしそうになったミスラから逃げたのだ。

一度は気のせいだったかと思っていたミスラだったが、翌日になって『昨日の夜、俺から逃げましたよね?二人だけで、俺を無視しましたね?』と面倒臭く不貞腐れてしまった件があったので今回は逃げるに逃げられなかった。

ミスラは意外と寂しがり屋だったらしい。


しかしまあ、付き合いの長い3人である。

同じ部屋に居れば自然と世間話の一つや二つは直ぐだ。

そうして『ねえ、前から思ってたんだけど。ミスラはいつから騎士様の事を名前で呼ぶようになったの?』という話になったのだが。


「さあ、いつからでしたっけ。忘れました。」

「…僕の方が騎士様と早く知り合ったんだよ?何でミスラが名前で呼ぶのさ。」

「知りませんよ、ああ…じゃあ貴方も呼べば良いじゃないですか。というか、たまに呼んでません?」

「…呼んでない。何で僕が名前呼んであげなきゃいけないのさ、騎士様なんて騎士様で充分だよ。」

「じゃあ別に良いじゃないですか。」

「良くない。僕が先なのにお前が名前で呼んでるのが気に入らない。」

「めんどくさいな。じゃあ俺の方が強いからって事で良いんじゃないですか?」

目の前で繰り広げられられる茶番にも満たないやり取りに、ブラッドリーは心を無にして紅茶を飲む。


何故かラスティカが分けてくれた茶葉なだけあって美味い。

この紅茶はなんと言う名だったか、と考えているところで「お前もたまに呼んでるよね」とオーエンの声がした。

矛先をミスラからブラッドリーに変えたらしい。

「あー…そうか?覚えてねぇな。」

「ミスラはこの際もう良いよ、僕より強いのは本当だし。でも僕より弱いお前が何で名前で呼ぶのさ。」

「まぁ…酒飲む時とか、中央のちっちゃいのと居たりするからじゃねぇか…?」

無難な回答をしておく。

「僕だって騎士様とカフェ巡りしてるし、リケとだってお喋りするよ。頼んでもいないのに笑顔で話しかけてくるし…」

めんどくさい、その一言に尽きた。

「つーかよぉ‥名前云々の前に、お前の場合は笑顔向けられるだけマシだと思うぞ?目玉は奪うわ、出会う度にひねくれた嫌味しか言わねぇわ、酒の趣味が合うわけでも、食の趣味が合うわけでもねぇ。自己中心で、何かありゃすぐケルベロス出すような奴と仲良くなれるわけねぇよ。でもカイ…騎士の兄ちゃんは表面上だけでもお前に愛想振り撒いてくれてるんだから…」

ハッとして、ブラッドリーはオーエンを見る。

「…じゃあ何?騎士様は僕の事が大嫌いだけど仕方なく愛想笑いして挨拶したりお菓子買ってきたりしてるって言いたいの?僕はミスラやブラッドリー以下だって言いたいわけ?僕はそんな騎士様に感謝して生きていけってお前はそう言いたいの?」

てっきりトランクを持ち出してくるかと思ったが、言葉とは逆にオーエンはどこか不安気な面持ちだった。

「…そこまで言ってねぇけどよ…名前呼ぶにしても、先ずはもうちょい接し方とか色々変えねぇと…」

「…そんなこと言ったって…僕だって騎士様が跪いて泣いて乞うなら目玉を返してあげてもって思うけど、騎士様は強くなって取り返すって言うし…カフェ巡りだって騎士様が言い出したんだよ…?僕は王子様と取引したのに、それに僕はちゃんと協力だってしてあげてるし…」

「結局、名前で呼びたいんですか?違うんですか?」

「…呼んであげても良い…」

「はぁ。要するに、俺やブラッドリーが名前で呼んでるのに自分だけ呼べないのが嫌なんでしょう?でも、いざとなったら呼びたいけど呼ぶ勇気がないんですよね?あ、これ美味しいですよ。」


存分に菓子を堪能していたミスラが気紛れにオーエンの口へマカロンを押し込んだ。

「練習したらどうです?」

「…練習…?」

「ほら、ちょうどカインっぽい人がいますし。」

そう言ってミスラは中庭で一休みしているカインを魔法で呼んだ。

突然、談話室に呼ばれたカイン。

「(カインっぽい人っつーか、本人じゃねぇか)」


ブラッドリーはそう思ったが、いちいち言わない。


「ミスラ‥確かに騎士様にとても似てるけど…急に名前でって言われても僕やっぱり…」

オーエンは混乱していた。

カインを目の前にトランクを抱き締めてブツブツ言っている。



「えーっと…取り敢えず、どういう状況なんだ?」


ミスラは寝てるし、オーエンは一人小芝居をしていて、何故かブラッドリーには生温い目で見られている。


昼食前の談話室。


当然、カインが一番混乱した。





終わろう。

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