06/13の日記

00:38
そして饂飩は破裂した(亀甲とネネ)
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朝餉前、皆が集まりだした頃。

「皆、ちょっと良いか?」と自称、主お世話係りの長谷部が声をかける。


「今日の予定に一部変更が出来た。

予定していた第1部隊の4時間遠征が今朝入った期間限定の出陣に変更となった。今回は滞在が無いので第1部隊のままの行軍だが敵は手強い、よって主戦力で行くとの事だ。

代わりに第2部隊の面々には申し訳ないが第1部隊の代わりに4時間遠征を頼む、予定していた出陣は続行。負担をかけるが宜しく頼む。

第3部隊は現在24時間遠征中で17時帰還予定、第4部隊も18時間遠征中で18時帰還予定だ。」


この連絡を受けて「困ったね…」と呟く歌仙に長谷部が首を傾げる。

「何か問題があるのか?」

「いや、燭台切が遠征中で不在だろう?夕餉はともかく僕は第2部隊だから昼餉の仕度が今からじゃ間に合わない。厨を任せられる面々も第1部隊や遠征で不在だ…本丸待機の殆んどは厨禁止令済みか新しく来た者達だからね…」

「ふむ…確かに。残っている面々で任せられる者……」

「よし。」

意を決したように頷く歌仙。

そして選らばれし緊急厨係りは…

巴形、静形、祢々切丸、亀甲、平野。


「うん、緊急事態だ。この面々なら何とかなるだろう。」

朝餉の後に急遽呼ばれた5振は不思議そうな面持ちで居た。

「君達を呼んだのは他でもない、今朝の予定変更で僕を含めて厨の事が出来る面々が不在となる。夕餉の頃には誰かしら帰ってくるが昼餉だけは間に合わない、だから君達に頼みたいんだ。」

「補充戦力の役目と有らば果たしたいと思うが…俺に厨事が出来るだろうか…」

「俺が触れると何かと壊してしまわないだろうか…?」

「ふむ…我のような図体が居て邪魔にはならんだろうか?」

新しく来た薙刀2振と大太刀1振はやはり不安があるようだ。

「大丈夫さ、君達は真面目だからね。それに厨の事なら亀甲と平野をつけるから協力してやってほしい。打刀と短刀だけじゃ難しい事もあるんだ。祢々切丸は厨の奥に広めの作業台があるから、其処で作業すると良い。

亀甲、今朝に仕込んだ饂飩の生地があるから昼餉は其れを使ってくれて良い。厨の棚に本もあるから参考にしてくれ。」

「わかったよ。」

「平野、皆の細かい作業の手伝いを君に頼む。困った事や急な買い物などは長谷部に任せると良いよ。」

「はい!」

「じゃあ、僕はそろそろ行くけど…火の扱いには気を付けてくれ、頼んだよ。」


こうして殆んどの面々が其々の任務へと出払った。


ーーーーーーー

亀甲&祢々切丸の饂飩作業


「さあ!早速だけど祢々切丸、出番だよ!歌仙が預けてくれた饂飩生地を仕上げていこう!」

「うむ、わかった。我は何をすれば良い?」

「踏むんだ。饂飩の生地をギュッと、君のその足でね。」

「…わ、わかった。」

亀甲の『うっとり』とした目で見詰められた祢々切丸は取り敢えず頷いた。

「こうして生地の上にビニールを敷いて、さあ踏んでくれ!」

「踏むのは良いが…我が踏んで本当に大丈夫だろうか…弾けたりせんだろうか?」

「ンフフ、大丈夫さ。踏めば踏むほどイイんだよ、さあ踏んでおくれ。」

「わかった。」

ギュムッ、ギュムッ‥と祢々切丸の足がそろそろと饂飩の生地を踏む。

ギュッ ギュムッ グッ

ゆっくりではあるが確かな強さで祢々切丸は饂飩の生地を踏む。

そして亀甲の息が荒くなる。


「ああ…イイ、良い感じだよ祢々切丸…!」

「そうか、処で呼吸が荒いようだが大丈夫か?」


「ああ!大丈夫!ちょっと高まってきただけだからね!さぁもっと踏んで、そう、グッと踏むんだ…!」

「こ、こうか…?」

「そう、もっとだ!」

「も、もっとか?」

「ああっ!良い感じだよ!もっと踏んでくれ!」

「ふむ!」

「もっと!」

「それっ…!」

「もっと!強く!君の全てを!その足に!込めるんだ!」

「むっ……これでっ、どうだ…っ!!」


スパアァァァァンッ!!!


様子を見ていた平野、巴、静、そして踏んでいた祢々切丸も…

初めて饂飩の生地が弾ける瞬間を目の当たりにしたのだった。

「……破裂…してしまったが……」

祢々切丸の声が静に厨内の空気を満たした。

幸い歌仙の仕込んでいた生地は未だあったので良かったのだが

自分が踏むと破裂すると思い込んでしまった祢々切丸と、自分もきっと同じだと思い込んでしまった静形を説得するのに少し時間がかかった。

結局、平野が手伝う形で祢々切丸は饂飩を踏んだ。


さて、饂飩の破裂事件があったものの昼餉は無事に作る事が出来た。

しっかりとコシのある饂飩に冷やした麺汁をかけ、刻んだ胡瓜や葱と揚げ玉と茹で卵を乗せて美味しく頂きました。


夕餉の頃には出陣や遠征に出ていた面々も無事に帰還し、昼餉に携わった亀甲以外の4振は作る者の有り難みを噛み締めたのだった。




おしまい

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