07/25の日記

15:27
さえさまリクエスト
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皆さんこんにちは、坂田銀時です。

今日は高杉君が来ています、久しぶりの逢い引きというかお泊まりみたいな。

『久しぶり』これ大事。

でも今日は何故か神楽の兄貴が一緒です。

俺と高杉ときたら夜はやっぱりメイクラブじゃん?

でもホラ、年頃の娘がいるから…やっぱり気を使って神楽が居ない時とか、外で待ち合わせするとかタイミング合わせるわけよ。

なのに高杉は堂々とやって来て、神楽の兄貴まで連れて来て、もちろん神楽だって今日は居ますよ。

だって俺も今知ったから。

今日来るとか聞いてなかったからね。

まぁ次の約束してなかったからそろそろかなぁ?とは思ってたけど。

というか…

「何で神楽の兄貴連れて来たの。」

悠々と和室で煙管を燻らせながら寛いでいる高杉に真正面から尋ねる。

因みに神楽と兄貴はリビングで定春と戯れ中だ。

「…先月はアイツの誕生日だったらしい。」

「うん。」

「何かと世話にもなったから簡単な祝いでも、と思ったんだが『美味い飯を食えりゃ良い』ってんで連れて来た。

「…え?つまり今日は逢い引きではなく…」

「お前の所なら何かと賑やかで妹もいる…それに、家族全員とまではいかなくても偶にはそういうのも悪かねェかと思ってな。お前なら料理も甘味も作れるし。」

「俺、料理係?俺が作んの?」

「普段此処でガキに食わせてるもんで構わねェ、どうしても無理なら何か家庭料理出せる店を教えろ。」

正直ガキに食わせてるもんと言われても…

豆パン、酢昆布、卵かけご飯、振りかけご飯、飯と味噌汁…偶に奮発して焼き肉とか屋台とか。

掘り起こしても果てしなく空しい家庭料理しかない。

「…そのツラじゃろくなもん無さそうだな…」

流石、高杉。

「いや、まぁ…作る事は出来るけどね、材料さえあれば。」

「…甲斐性ねェな、まァ頼むからには材料費は出してやる。あと今晩アイツも泊まるから妙な事すんなよ。」

「…はい(多分)。」

メイクラブは完全崩壊した。


「あとは…もう少し人数いた方が良いんだが、誰か呼べるか?」

普段は大体おまかせな高杉にしては珍しく彼是と提案してくる。

きっと高杉なりの気遣いだろう、神威は神楽より早く家族らしいものから離れていた。

だから、少しでもそういう雰囲気的なものを与えてやりたいのかもしれない。

「(ほんと、見掛けによらず。)」

「銀時…?」


黙ったままの銀時を不思議そうに窺う高杉の頭をクシャクシャと撫でてやれば「何すんだ」と睨まれた。


万事屋の表に『本日休業』の札を掛け、留守番を神威と神楽に任せる…筈だったのだが。

『俺が買い物なんざ行くわけねェだろ、行ってこい甲斐性無し』

神威と神楽、定春+高杉に留守番を任せて銀時は買い出しに出掛けた。


万事屋を降りてから直ぐの扉を開けると、片付けをしているお登勢とキャサリンが顔を上げた。

「なんだい銀時、ついに家賃でも払いに来たのかい?」

「んなわけねーだろ、ちょっと話があってな。」

「『んなわけねーだろ』じゃねぇだろ、6ヶ月分の家賃だぞ。」

「ソウデスヨ。ジンゾウナリ、キ○タマナリウッテコイヤ。」

「…。まぁ話ってのは今晩ちょっと祝い事をするからよ、神楽の兄貴なんだけど。賑やかな方が良いらしいから暇なら来ればって話。」

「アノガキニアニキナンテイタンデスネ。」

「へぇ?祝い事って誕生日か何かかい?」

「まぁそんなとこだ。」

銀時が簡単に話すと、お登勢とキャサリンも『偶には良いさ』と店を貸してくれる事になった。

スーパーに向かう途中で新八、長谷川にも声をかけた。

食費と労力を考えるとこれくらいの人数で良いだろう。

料理仕度は5時からスナックと万事屋の台所を使い、新八もお登勢も手伝ってくれるらしいので一安心だ。

沢山の材料を買って、一部をお登勢に預けて一旦帰宅する。

「あっ!銀ちゃん!ねえ見てヨ!」

嬉しそうな神楽がクルリと背中を見せる。

背中というか後頭部。

「三編み!高杉がしてくれたアル!すげくね?格好よくね?」

「妙なとこ器用だなアイツ。」

食材を冷蔵庫にしまい、リビングではなく和室から声がする。

銀時は目を見張った。

「(オイオイ、いくらなんでも)」

和室では胡座をかいた高杉の真ん前に座る神威が髪を編んで貰っていた。

「あ、お侍さんお帰り。」

「なにしてんの。」

「見りゃ解んだろ、髪編んでる。」

「神楽と定春とジャレてたらボサボサになっちゃって、いつも阿伏兎がするから俺は出来ないし。」

微笑ましい風景だが銀時の目は高杉の少しだけ見えてしまっている太股に釘付けだった。

「随分仲良いこって、俺の髪なんか鋤いてもくれねぇくせに。」

「ククッ…良い年した野郎が何を言いやがる。出来たぜ。」

「ありがと、シンスケ。」

「あァ。」

神威と神楽、高杉の微笑ましい様子を見ながら銀時は小さく息をつく。

ふと時計を見れば4時前だったので先に仕込みを始めるか、と台所に向かった。

「あれ?お侍さん、また出かけるの?」

「晩飯の準備。」

「へえ料理出来るんだね、味見させてよ。」

「おめーらの場合、味見じゃ済まねぇから却下だ。晩飯抜きにされたくなきゃ大人しく待ってな。」

そうは言ったが。

「それでご飯炊くの?」

「そ。」

「少なくない?足りる?」

「炊ける量が決まってんだよ、普通はこれで十分なんだけどな。」

「ふぅん、人間って少食なんだね。あ、肉だ。何作るの?」

「豚肉は野菜と炒めて鳥は唐揚げ…て言うか」

銀時は傍らで珍しそうに見ていた神威を台所から摘まみ出す。

「大人しく待ってろって言っただろうが、気が散るから向こう行ってろ。」

「えー…大人しく見てただけなのに。」

「神楽ちゃぁん!!お宅のお兄さん連れて定春の散歩行ってこい!」

「わかったアル。」

「ありゃ、厄介払いされちゃった。シンスケも行く?」

「そうさな、」

「『そうさな』じゃねぇんだよ、お前は手伝うの!」

ようやく静かになった万事屋で銀時は深々と溜め息をついた。

「どうした、疲れた顔して…ンッ」


突然抱き寄せられてバランスを崩した高杉に銀時は深く口づける。

「ンッ…ぅ」

ちゅ、と離れた唇が僅かに熱い。

「ククッ…本当に嫉妬深いなテメェは。」

「当たり前だコノヤロー。いきなり来たかと思えば連れはいるわ、料理作れだ、泊めろだ、挙げ句の果てにはイチャついてるわ…今度きっちり埋め合わせしろよコラ。」

「考えとくぜ。」

「まだ言うか、決定事項に決まってんだろ。」

「銀時、」

「なん、」

ちゅ、と重なる唇は高杉からのもの。

その手がそっと銀時の髪を撫でた。

「取り敢えず…埋め合わせ1/4前払いしとくぜ。」

「…残りの3/4にかなりの期待をしても良いですか。」

「お前の頑張りしだいだなァ。」

クスクスと笑いながら高杉はもう一度銀時に口づけた。




おしまい



リクエスト有り難うございました!


フシビ 拝

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