オリジナル作品集
□オリジナル詩 肆
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『気付く季節』
五月病、なんて誰が呼んだのでしょうか
人が考え、気付く事が出来る
良い季節じゃないか
昔、沢山の命が夏に消えた。
灰になって、
骨になって、
塵にもなって…
時には影だけを遺して。
空が、
海が、
風が、
別れを告げた。
あれから幾年も経って、
それでも夏はやってくる
思い出される悲しみや憂いに、
空は泣き、海は囁き、風は記憶を誘う。
沢山の命を見届けた、あの夏からの別れの記憶。
初夏の緑が命の輝きを、
梅雨は育みと涙を、
そして、
あの日の命を忘れるなと、頻りに語り続ける。
夏は、其の全てをもって伝えている。
人が憂う五月の病は、夏が伝える記憶そのもの。
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