小説 紐八

□夕立と西日の中の蜩
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高校二年の、夏の暮れ。

地元の高校に通う坂田銀時と高杉晋助は、幼少から慣れた田舎の道を今日も二人歩いていた。


蜩が鳴き、西日の射す空を如何にも黒い雨雲が渡る。


「夕立だな。」


呟いた高杉と、何処か浮かない面持ちでいた銀時は一先ず木の下に移動した。


間もなく雷鳴が聴こえて雨が降りた。


ザッと一気に叩きつける様な雨。


しかし、西日の黄金色も雨を照らしている。


夏ならでわの独特な景色が広がっていた。


「高杉…あのさ、」


「なぁ銀時、」


其の互いの呼びかけが重なって、お互いに顔を見合わせたが「先に言え」と高杉は促した。


「…俺な………土方が、好きだ。」


「…。」


銀時が浮かない顔をしていた理由は其れだった。


高杉は一つ、静かに息を吸った。


「…奇遇だな。」


既に止みつつある雨音の中に聴こえ高杉の言葉に銀時は俯いていた顔を上げた。


「俺も…お前に別れ話を言おうと思っていた処だ。」


少しの笑みを浮かべて、高杉は空を見た。


「夕立、止んだな…帰ろうぜ。」


呆けている銀時の頭を軽く叩いて、銀時も頷いた。


―――


高校三年、銀時は大学を土方と同じ大学にした。


地元から少し離れた大学の、二人暮らし。


だから、バイトで互いに金を貯めつつ勉強をした。


高杉はと言うと元々地元の旧家の出な為か「俺はやる事が決まってるんだよ」と大学進学はしないらしかった。
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