小説 紐八

□何事も考え過ぎると空振りする。
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夏を前に、各々休日の予定を考える頃。


沖田と土方は今、真剣な面持ちで水着ショップの前に立っていた。


その少し後ろに沖田の姉のミツバが立っている。


そう、夏。


夏と言えば海。


『久しぶりだから水着でも買いに行こうかしら』


そんなミツバの一言に沖田は目の前からレモン汁をぶちまけられた心地がした。


『総ちゃんも一緒に行きましょ、あ、せっかくだから十四郎さんも誘ったらどうかしら。水着買うの久しぶり、楽しみね。』


夏の海に気分を馳せる大事な愛しの姉の申し出を断れる筈もなく…


[明後日土曜、銀魂水着ショップ前10時、必ず、死ぬ気で来い土方。]


姉に見せる天使の様な笑顔からは想像もつかない能面の様な顔で沖田は凄まじいスピードで土方にメールをいれた。


当然直ぐに土方から電話がかかってきたのだが。


……


そして今。


いよいよ水着ショップに入る。


「良いですかぃ土方さん、露出の限り無く少ない水着ですぜ。姉上の玉の様な肌を何処の馬の骨かもわからねえ野郎共の目に晒さない方向で。」


「お前…目の色変わってんぞ…。」


「当たり前でさぁ…其の辺の雌豚共のどうでも良い水着を選ぶのとは訳が違いますぜ?姉上の水着ですからね、ホント気を抜かねぇで下せぇよ。」
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