小説 重漆

□銀高への質問解答篇
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「はい、ようこそ質問コーナー解答篇へ。今回は企画と言うか何と言うか、まあ俺と高杉の色々を知ってもらおうって事で…」


銀時はバサリと紙の束を手にする。


「ま、俺等が勝手に質問見繕って答えても意味ねーし?まあ色んな所からこうして色々貰ってきたんだけれども…」


銀時は目の前を過っていく紫煙の元に目をやる。


「おーい、聞いてる?つか何で俺一人MCみたいな事やってんの。何でお前は寛いでんだ。」


「…」


高杉は座布団に座って脇息に凭れながら紫煙を吐き出すと、黙ったままそっぽを向く。


「あ、すいませんね何か…高杉がね、見ての通りやる気の欠片も見せないって言う」


「下らねェ。」


「ホントすいませんね。アイツ人の倍、無駄に恥ずかしがり屋なんで…え?何でって?ホラ、こういうのは色々聞かれるじゃん?聞かれたら答えなきゃなんないし恥ずかしがってんの、ホントシャイなアンチキショーだから…」


「おい、勝手ぬかしてんじゃねェぞテメェ…こんなの今更意味ねェって言ってんだ、今までの一部始終を見りゃ俺とテメェの事は誰だって解る。」


高杉は煙管をしまった。


「いや…そうだけど、気持ち的な事とかあるじゃん。寛いでて良いから、聞かれたら答えろよお前も。」


「…。」


「じゃあお客さん待ってっから始めるぞ?あ、お待たせしました。じゃあ気を取り直して早速いきますんで。」


『各々の今までで一番心に残る思い出を教えて下さい』


「お、良いねぇ質問コーナーらしいじゃねーの。高杉、何かある?」


「…あ?」


「『あ?』じゃなくて、聞いときなさいよ質問を。一番心に残ってる思い出、何かねーの?」


高杉はふと考える。


「思い出ねェ…先生の授業。」


「空気を読めよコラ、こういう場合は俺との事を」


「『叩っ斬る』って言われた事だ。」


「…公式は忘れなさい、もうちょっと無難なさぁ…優しい感じの俺との思い出はねーの?初っぱなだよコレ?一問目だぞ?」


銀時が小さく溜め息をつくと「じゃあテメェは有るのか」と高杉は尋ねた。


「俺?俺はそうだなぁ…お前に初めてキスした事。」
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