小説 集似
□水無月の、
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「おい三郎、汁粉とぜんざいの違いって解るか?」
ふと高杉に尋ねられた三郎は口にしていた握り飯を飲み込んだ後、
「解りますけど、」と答えた。
「そうだよなァ…別に難しくねェよな?」
「まー…難しくは無いですね。似たり寄ったりですけど。」
高杉はどうでも良さそうに三郎の隣に腰を下ろすと、片手に持っていた握り飯を口にした。
三郎も握り飯を食べる。
「…銀時が、違いが解らねェって言いやがる。」
「…汁粉とぜんざい、ですか?」
「ああ、何回も何回も教えてんのにだ。しまいには『もう全部一緒で良い面倒臭い』だと。」
「ふふっ…坂田さんらしいッスね。」
「別に、銀時の認識なんざどうでも良いけどな…俺が昔っから態々教えてきたってのに、面倒臭いなんざ言いやがって。」
「喧嘩、したんですか?」
「そこまでは…してねェけど。」
三郎は大方言い合いにでもなったんだろうな、と小さく笑った。
「アンタも結構気にするんですね。」
「別に…ただ、アイツは面倒臭いって簡単に言うが…じゃあ、其に付き合ってきた俺は……何だって話だよ!アホらしい!」
「ふふ…ま、アンタと坂田さんの事は解りませんが……」