小説 集似
□光と植物の喧嘩
1ページ/3ページ
白い雲がちらほらと浮かぶ和かな青空の下、
沸き上がる水も素晴らしく澄んだ色をしていた。
キラキラと輝く光と、其れに枝葉を延ばす植物達が生き生きとしていた皐月の始まり。
しかし、其処に響くのは、そんな景色に似つかわしくない喧騒の数々。
「お前は本っ当に可愛くないわ!素直なのは光合成の時だけか!用が済んだらポイ捨てですか!」
「聞きの悪い事を言うな。テメェは光合成、光合成って簡単に言うがな、テメェの光合成は疲れるんだよ!」
「疲れるもクソもあるかよ、オメーの植物としての仕事だろーが!常にスタンバってる植物プランクトン達がやる気無くしたらどうすんだ!」
「スタンバってるわけねェだろ!俺はここいらの植物の源だ!水分だって巡らせなきゃなんねェし、根を張って蕾も注意して、色々やる事有るんだよ!」
「お前が光合成をしない事で酸素薄くなったらどうすんだ!」
「テメェには関係無いだろうが。」
「ホントにお前はっ…光合成しなきゃ酸素だけじゃなく糖だって作れねーんだぞ!」
「うるせェな…酸素作るにも水分が要るし、テメェの光合成が過ぎるから直ぐに水分が無くなって大変なんだぞ此方は。」
「あっそう!じゃあ良いよ、解りました!!お前から光合成してって云うまで絶対に誘ってやんねーから!」
「…馬鹿。」
「馬鹿で結構!因みにお前から誘ってきても、今までみたいに直ぐは無理だからね、俺も最近あちこち任されてるし!これ迄は早く終るように頑張ってきたけど普通に戻すから!シフト通りいくかんな!」
「ヘェ…光合成ってシフトだったんだな。」
「そうですぅ!燦々と忙しく管轄を頑張ってきたんです!けど、もう知らないから!」
「植物ってのは環境に応じる生き物だ、白いアスパラやモヤシ然り。新たな植物が生まれるだろうよ。」
「テメッ…今に光合成の大事さが解るからな!思い知れ馬鹿!!」
怒りにも燦々と熱く輝きながら、銀時は空を渡って行った。
銀時の管轄下にある場所にとっての光は、銀時が居る場所を中心に輝く。
故に銀時が離れれば離れる程、其処には弱い光しか当たらないのだ。
「高杉、銀時を行かせて良かったのか?」
銀時との始終を見ていた桂が口にする。
「別に良いんじゃねェか?俺も光合成するのには水分も要るし、酸素出したり養分作ったり…大変なんだ。ごちそうさん。」
高杉は桂から水分を得ると軽く伸びをした。
辺りの小枝が揺れ、葉が幾つか落ちた。
桂の水面にも数枚浮かんだ。