小説 充
□去勢騒動in万事屋
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ガチャリ、
重たい音が響くと共に、毛の無い軽そうな頭が輝く。
銀時は椅子に腰かけながらその眩しさに目を細めた。
「何だよ、神楽なら遊びに行ってんぞハゲ。」
「ハゲって何だ殺すよ?ったく相変わらずはちゃめちゃにやってくれてんじゃねーの。」
海坊主は傘を納めて目を据わらせる。
「アレ見たぞコラ。刀なんかケツに刺しやがって神楽ちゃんの教育上益々よろしく無いだろうが。テメーは本当に節操がねー野郎だな…その股のもん去勢してやろうか。」
「何言ってんの、この世界に於いて今更節操も何も――」
銀時が言いかけた時、海坊主の首元に刀が宛てられた。
土方だ。
「ソイツの節操無しには俺も困ってんだが、まだ去勢されちゃかなわねぇ。」
「あれ、何で居んの?」と言う銀時の隣の和室で、窓が勢いよく開いた。
「銀時を去勢すんのは待ってもらおうか。」
高杉だ。
「オメーも何つう処から登場してんの。」
銀時の呟きは静かに空気に消えた。
「オイオイ、何だ。人間がこの俺に刀を向けるか?」
海坊主は言うが、其に怯む二人ではない。
「あんた、確か海坊主だったよな。アイツが去勢されちまうと、銀土が成立しなくなんだ。アンタ、頭の上だけじゃなく存在が散らかる事になるぜ。」