小説 充
□仲直り
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いつもの様に昼夜問わず賑わいを見せる歌舞伎町。
昼前に万事屋を出てから、現在の時刻は夜10時を過ぎた。
久々の仕事に銀時は一人、賑わう街中を帰路につく。
「あー…腹減ったなぁ…おでんでも食うかな…」
とは云え、今居る道は色の道。
手頃なコンビニも屋台も少し先へ進まなくては影もない。
空腹以外に急ぐ理由も無い銀時は、ぶらぶらと足を進めた。
漸く、色が少し薄れた道に出る。
いつもの橋、川、屋台も幾つか見えた。
その時、何気にすれ違った男の其の横の道。
薄暗い闇に入り込んだ笠を見つけた。
「…」
銀時は思わず立ち止まり、迷った結果、その道に入った。
すると間も無く、
「よォ、俺を追ってくるたァ…何の用だい。」
やはり、と云うか何と云うか…
「テメーこそこんな処で何やってんだ…!」
言った直後、鈍い銀色が線を描いた。
銀時は木刀を抜き、止める。
「お前さんに教える義理はねェなァ、銀時ィ…。」
組んだ得物を払い、距離をとる。
「高杉、また物騒な事考えてんのか。」
「さぁな。しかし…お前さん、次に会ったら斬るだァ何だと言っておきながら…自ら俺を追うとはねェ。そんなに殺り合いたかったか…クク…」