小説 八
□猫の事情〜発情期篇〜
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とある麗らかな陽気の日
「よし、今日も素晴らしい洗濯日和だ。」
坂田家の生活に慣れ、小太郎と晋助は今日も家事をこなしながら二匹仲良くお留守番。
小太郎は洗濯物籠を抱えて部屋に戻る。
「晋助?」
晋助はベランダ近くの日溜まりで眠っている。
「晋助、何処か辛いのか?」
「…ん…ん…」
何処かぼんやりとした様子に、小太郎は自分の額を晋助の額にくっ付ける。
「…少し熱いか…?」
こうなると小太郎は不安になってくる。
「取り敢えず…取り敢えず、此方で休んで…」
あたふたとし出す小太郎の手を掴み、晋助は「大丈夫」と呟いて猫に戻る。
小太郎は暫く側で様子を見ていたが、晋助は喉を鳴らしたり尻尾や耳をはたはた揺らす。
「あ…」
何か思い当たった小太郎は自分も猫に戻ると晋助に寄り添う。
耳や顔を舐めてやると晋助は喉を鳴らす。
そんな日が数日続いた土曜日。
今日は銀時も昼には帰ってきた。
最近、小太郎と晋助が猫型で居る時間が増えた。
二匹を見つめながら銀時は珈琲を口にした。
リビングには猫の姿で丸まっている小太郎と晋助がいる。
互いに擦り寄って、舐めあってゴロゴロ喉を鳴らす。
「ねえ、人の姿になってるとやっぱり疲れたりするの?」
銀時は何となく聞いてみた。
『いや、そんな事はないが?』と小太郎はいう。
「それなら良いんだけど、ホラ、最近猫の姿で居ること多いから…何かあったのかなって。」
銀時の言葉に『心配、してくれたんだ。ありがと。』と晋助。
『言うのがちょっと恥ずかしいのだが、実は発情期で…猫の姿でくっついて居ると些かマシなんだ。』と小太郎は言う。
「発情期…」
銀時は暫し考える。
「なあ、男同士だから聞くけどさ…抜いたりってしないの?」
『『抜く?』』
小太郎と晋助は眼を丸くした。
「あの…ほら、お前等も人型とれるじゃん?勿論アレもついてるし(風呂で確認済)…抜いたら楽になるんじゃねーかなって…思うんだけど…」
『人間にも発情期があると…』
小太郎は直ぐ様銀時の膝に乗ると興味津々に尋ねる。
『是非その抜くと云うのを教えていただけないだろうか!?』
「ええっ!?」
銀時は顔を紅くする。
『なあ、俺も…知りたい。教えてくれよ。』
晋助までも膝に乗ってきた。
「わ……わかった。じゃあ…」
男、坂田銀時。
腹をくくった。
おわる
おまけ
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