小説 肆

□仲間はいつも其処に居た
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かつての攘夷戦争の様な光景が広がった、いや…こうなる事が目的でもあった。


天人を、この世界を、壊し引っ掻き回す為に全てを利用した。


神威が率いる春雨とは別に、思い通りに成らないと其を排そうとする天人の幹部らが動き出した。

そうしてこの喧騒乱舞。

糸が絡まり、縺れていく様は小気味良い。


しかし、春雨以外の天人共含めてが我先に、我こそが、と排し合う。


その排除の対象には、勿論この鬼兵隊も含まれている。


そうして戦う内に天人共はこの鬼兵隊から潰そうと天人だけで手を組んだらしい。


さっき迄、闘い合っていた天人共が的を一つに絞った瞬間は、縺れた糸が綺麗にほどけ解れた様だった。





「晋助様ァ!此処は任せて早く行って下さい!」

来島が使い慣れた銃で味方を援護しながら叫んだ。


いつもと何処か違うのは、あちらこちらに傷をやられているからだろう。


銃声をならす度に痛みを耐えているのが解る。


「晋助、拙者も此処にとどまる。主は武市殿と先に行くが良い。」


言われなくともそうするさ。


仲間なんぞがいくら死のうが、転がろうが関係ねェ。



高杉は来島や万斉らに背を向けて歩き出した。


多勢に無勢の中、



刀や銃の音は響く。
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