小説 肆

□猫の様な君
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「……。」


目の前に広がるものを銀八はただ見つめていた。

学校のこの世の果てまでも面倒臭い職員業務(会議)を終えてたった今、家に帰ってきた処だ。



「鍵は………あれ、無い…?」


いつも過ごす部屋の鍵を無くしたと扉に手をかけてみれば閉め忘れていたらしく物騒な事に開いていた。


「マジか。」


そう呟いて部屋に電気を点ける。

しかし一番に視界に入り込んだものは我が生徒兼あっちでの敵役、つまり高杉だった。


小説初登場して抜刀をやらかすデンジャラスの化身が何故か部屋にいる。

しかも銀八のパジャマを着て、本来被るべきベッドの毛布を膝下に丸めて敷いている。


更に毛布の代わりに上から浴衣を布団の様に被って寝ている。


「(ちょっと何がしたかったのか解らないけど!可愛いんだけどォォォォッ!!!)」


銀八は心で叫びまくった。

高杉は携帯を片手にしたままだ。

それを見て無粋に携帯の音なんかで高杉を起こさないように銀八もマナーにしようと画面を開けばメールが二件。


どちらも高杉だった。


『今日泊まる、鍵は拝借した。』


『先に寝る、服借りるからな』


成る程。


玄関が開いていたのも鍵が無かったのも全て理解した銀八はクスリと笑う。
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