小説 紐八
□きっかけの肝試し
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皆の順番が終わって、銀時は一人神社に向かった。
後ろから見送っていた他の子供等がコッソリ帰ったとも知らずに。
「証拠…って何だろ、てか見て解る所に無いじゃん…。」
辺りは段々と暗くなり、辛うじて西の山に太陽の半分が残っている。
クラスメートに誘われて内心喜んだものの…
銀時は段々不安になってきた。
気付けば涙が落ちそうになっていて、其れを拭いながら諦めた。
辺りが暗い。
「…ごめん、証拠…」
神社を降りた辺りに居ると思っていたクラスメートは誰も居なかった。
代わりに、懐中電灯を持ったクラスメートが一人立っていた。
喋った事はないが、クラスメート。
名前は杉…高杉。
「皆、は…?」
聞かなくても一目瞭然だが。
「さっき帰って行ったの見たぜ。」
「…。」
銀時は、やっぱりか…と手を握り締めた。
「…お前、ホイホイついて行くなよ。肝試しなんか下らない。」
「だって…初めて誘われたから!!」
銀時の意外と大きな声に高杉は目を丸くした。
銀時は悔しさや寂しさ不安と色んな感情が溢れて涙を堪えながら唇を噛み締めた。
すると高杉は「泣くなよ」と側に来て銀時の手をとる。
「帰ろ、」と手にしていた懐中電灯を点けて銀時を連れた。