小説 柔録
□淫夫流艶THE
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「高杉先生…もしかして凄く余計な事を、」
「時間あるから理事長が同伴してくれるってよ、心強いじゃねェか。」
「普通オメーが行くんじゃねーの!?ゲホッゲホッ何でババア!?」
「俺の言う事聞かないからですよ、ちょっと鼻に綿棒入れて抉られるだけです。腹をくくって行ってきて下さいね。」
高杉が余計に恐怖心を煽った処で理事長ことお登勢が来た。
「邪魔するよ。全く銀八ぃ…アンタも子供じゃないんだから、昨日から熱有ったならさっさと病院行っときゃ良かったものをね。ほら、車出してるから行くよ。」
お登勢はクイッと親指で示したが銀八には其れがまるで死刑宣告の様に見えた。
「お、俺はぜってー行かねーからな!唯でさえ嫌な所行くのにこんなババアがグフッ」
「さっさとしな。」
お登勢は銀八に一発入れて連れていった。
「では理事長、宜しくお願いします。」
「ああ、行ってくるよ。」
高杉は引きずられる銀八をやれやれと見送った。
高杉が嘗ての銀八の教え子『高杉晋助』である事は銀八の誕生日前に高杉の家で話し、想いを伝え、今では同居もしている。
しかし、相変わらずと云うか銀八の子供染みた屁理屈や言い訳が健在なのは嬉しいような呆れるようなそんな感じだ。