小説 八
□俺は解ります
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「アンタは、人を見る眼があるんだなぁ。」
刀を手入れする本人にそう言えば鼻で笑われた。
「別に見る眼なんて大層なもん持っちゃいねェよ。ありゃァ…てめェが好きそうなもんが偶々転がってたから頼んだだけさ。」
「ふふふっ…そうですか。」
笑う俺に不満そうな総督はふと先をに視線を移す。
連られて見てみると其処には白夜叉と云われる坂田さん。
総督は「アイツ…さてはヅラに絞られたな。」と笑った。
「確かに…何か嫌な事あった時の顔してますねぇ…」
「ほぉ…三郎でも解るか。」
「でもってなんすか。解りますよ、坂田さんもアンタも解りやすいですし…あ。」
言って直ぐにしまったと思ったが遅かった。
隣の総督は獲物を狙う獣の眼。
「ほぉ…俺の機嫌が解るか三郎。」
「き…機嫌が悪いのは直ぐに解りますよ!アダッ!」
直ぐに頭を叩かれた。
「ま、俺についてくる辺り…てめェは苦労するタイプだな。」
「確かに…苦労させないで下さいね総督。」
言った傍からまた叩かれたが、ついてきたのがこの人で良かったと思っている。
例え明日死ぬことになっても、俺が笑えるのはこの人のお陰だ。
終わり。