小説 漆
□甘色の戀に浸るか空蝉よ
3ページ/9ページ
「よお、何してんだ?」
銀時が振り向くと、其処には山崎を連れた土方が居た。
「旦那が女性を連れてるなんて珍しいですねアダッ!!。」
ププっと笑う山崎に銀時は渾身の一撃を食らわせた。
「馬鹿、お客だお客!それにしても、テメー等税金泥棒が珍しく働いてんじゃねーか。」
「っとに口の減らねー野郎だな…まぁ丁度良い。近頃この歌舞伎町其処らで怪しげな活動してやがる天人共が居てな。女子供を拐って行くらしいからテメー等も気を付けな。」
土方は煙草を取り出して火を付けた。
高杉は不機嫌そうに殺気立ったまま黙っている。
「旦那方も怪しい奴見たら110番してくださいね。」
山崎は変わらずの調子で言った。
「不審者なら居るじゃねーか其処に。年中マヨとニコチン中毒のが。」
「ンだとコラ!」
直ぐ様反応する土方を宥めながら山崎が尋ねる。
「まあまあ副長!旦那も依頼途中あちこち歩き回るなら注意してくださいね!」
「おう。あ、オメーらも浅黒い天人見たら教えてくれや。」
「あ?浅黒い天人なんか幾らでもいるだろ。」
土方と山崎が不思議そうな顔で見る。
「まあ色々あんだよ。つー訳で、浅黒天人のせいで困ってるこの子の為にも宜しく。」
土方は鼻で笑う。
「ハッ…こんな胡散臭い奴よりちゃんとした警察に言った方が良いぜお嬢さん。」
すると黙っていた高杉が口を開いた。
「黙れ幕府の狗が…其には及びません、あまり目立ちたくは無かったので敢えて万事屋さんに依頼をしております。」
「今幕府の狗って言った?さりげなく口調変わったよな?」
若干不審がる二人に銀時が口を挟む。
「あー彼女ちょっと警察にトラウマがあって…まぁ、そういう理由だから腐れポリ公は帰りやがれ。」
「ホントにムカツク野郎だなテメェは。」
土方は煙草を携帯灰皿に押し付ける。