小説 漆

□甘色の戀に浸るか空蝉よ
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「…今朝がた殺して来た天人の懐から妙な薬の入った瓶を見付けた。しかし、其が容易く割れて空気に触れるなり蒸発。其を些か吸い込んだらしい…気付けばこうなった。殺した天人には仲間がまだ居るらしい…。」



「ちょっと待って!待って!ストップ!話が急過ぎるんだけど…つまり、つまりアンタ……誰?」


「テメェの知り合いに左目潰してる奴が居るだろ。」



目の前の女は淡々と言い放った。


「た…た、高杉ィィィィィッ!?」



「煩せェ。」


――数分後――



「単刀直入に言う。さっさと元に戻りてェ。その天人共は見付け次第殺す。」



「単刀も直入過ぎるだろうが!!お前ね!朝一押し掛けて何の厄介事かと思えば…ホントに厄介事じゃねーか!」



銀時は机を叩いた。



「厄介事ででもなきゃ、態々此処に出向くわけもあるめェ。何かとややこしいからな。」



「…此処に出向くのも設定的にややこしいと気付いてますか?」



「今更だろ。とにかく、手伝え。」



目の前の淡々と喋る高杉に銀時は頭を掻きながら渋々頷いた。








「んで?探すのを手伝えって…どっから探すわけ?手掛かりとかは?」



「見た目は浅黒。」



「それだけ!?」



声を上げた銀時を高杉は睨む。



「お前ね、世の中には浅黒の天人なんか腐る程いるよ?どうやんの、仕分け人でも無理あるわ。」


「天人なんざ全部殺しちまえば良い。簡単じゃねェか。」



「高杉君ね、あ、今は女か。見た目はそんなに悪かねーんだ、あんまり物騒な事言うと警察が―――」



銀時が言うや否や、早速声がかかった。
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