小説 漆
□偶には
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「っは…ぁ…はっ…テメ…な、が…い…んだよ…」
呼吸を繰り返しながら小言を言う高杉の頬に銀時は笑いながら手を添えた。
「さっきさ、何言いかけたの?」
「はぁ…?」
「『偶には』って言って止まったじゃん?」
「あ、あれは…」
言いながら顔を逸らそうとする高杉。
銀時はしっかりと顔を合わせた。
「コラ、顔を逸らさない。何て言いかけたのか言ってみなさいよ。」
「…っ…も、もう…良い…」
「え?良いの?何で?」
明らかに意地悪い笑みを浮かべる銀時に、今度は高杉から口付けた。
唇を離した後で、「言う必要が無くなった」と高杉は笑ってみせた。
― 偶には情の一つでも見せやがれ ―
おわり