小説 杉

□愛刀は大切に
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「目覚めよ!目覚めよ!目覚めよォォォッ!」


洞爺湖仙人は必死だ。


銀時は目の前の必死な洞爺湖仙人(自分の愛刀)を残念な眼で見る。



「はぁ…はぁ…何という睡眠への執念…これだけ呼びかけて起きないとは……ん?」



モニターの高杉の袖がもぞもぞと動いている。


「目覚めたか!起きよ!目覚めの時は今だ!高杉晋助!」


すると袖の下でもぞもぞしていたものが現れた。

「ニャン」



黒い猫だった。



「…高杉ィ…」


呆れて物が言えないとはこの事。

銀時は顔に片手を当てて溜め息をついた。



「ニャァン…」


モニターから聞こえる小さな声。


すると猫の声に反応して散々死んだように寝ていた高杉が身体を起こした。


「あんだけ呼んで起きなかった癖に猫の一声で起きるっておかしくね!!?」


洞爺湖仙人は額に青筋を立てて銀時を見る。



「高杉が変なのは今更だって…」


『誰だ変っつったの』


モニターの高杉が反応した。


「あ?聞こえたか馬鹿杉。間違ってねェんだから良いだろが。」



『…テメェ銀時か。何で居やがる?』


そう言いながら高杉は黒い猫を抱く。


「仙人に呼ばれたんだよ。つか猫と遊びながら喋んじゃねーよ…何コイツ」


『ハッ…仙人だァ?銀時ィ、テメェも随分頭が悪いらしい…いや元からか。』


挑発的に笑う高杉は相変わらず猫とじゃれている。


「だから何で猫と遊んでんだよ!つかその猫どっから拾ってきたわけ!?まさかテメェ…それが噂の黒い獣とか言うんじゃ………」


ピクリと高杉が反応し、此方を見る。
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