小説 集似
□俺の名字知ってます?
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ある昼間の事、銀時はふと高杉に尋ねた。
「お前さ、俺の名字って覚えてる?」
「名字?」
「うん、俺の名前言ってみて?」
「…銀時。」
「名字は?」
「……」
初めこそ呆れた風な顔をしていた高杉は、少し真剣に考えた。
初めて会った頃、聞いた気がするが…。
「…坂田、かなんか…じゃなかったか?」
「うん、正解だけど何か悲しいわ。」
「お前の場合は皆、銀時って呼んでたろ。名字なんて有って無いようなものだったじゃねェか。」
「そうなんだよなー皆して銀時って呼ぶから…いや、良いんだけどね。何となく昨日、寝る前に思った訳よ。」
「寝る前に思い付くなよ、そんな事…」
「仕方ねーだろ!『明日高杉に会える、あ、そう言えば高杉は俺を銀時としか呼ばないけど名字知ってんのかな』って。」
「正直忘れてた。」
「うん、珍しく真剣に考えたもんね。つか、お前は坂田って呼ばないよな?」
「逆にテメェは名字で俺を呼ぶよな。」
「何か、高杉ってのがしっくりくんだよお前。晋助って…何か言いにくい。晋か助のどっちかなら呼べる気がする。」
「どういう意味だテメェ。」
「他意は無いって、ほら、ヅラだって小太郎って呼びにくいだろ?」
「まあ…」
その時、
「呼びにくくない、小太郎で構わんぞ。」