小説 杉
□複雑模様
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「晋助、今戻ったでござる。」
鬼兵隊本船、帰船早々に高杉の部屋を訪ねる万斉。
部屋の中では高杉が煙管をふかしていた。
「やはり今日行って正解だったでこざる。あったでござるよ銀魂DVD第3巻、四天王篇のやつ。」
万斉は9月発売だった銀魂長編、歌舞伎町戦争四天王篇が収録されたDVD を高杉へ手渡す。
高杉は表情を変えぬままそれを受けとると万斉へ返した。
いらないという意味ではなく、再生しろという意味だ。
万斉は承知、と受け取り再生する。
「…ふん、四天王篇だか何だか知らねぇが映画新訳紅桜篇があってこその人気だろ。」
出番がなかなか来ない高杉は肘置きに凭れてテレビの画面を見つめた。
相変わらず馬鹿な銀時が相変わらず馬鹿な事をやっている。
「小娘ごときに踊らされてコンクリート詰めたァな。」
呆れ顔の高杉。
「しかし、あの娘…なかなかの太刀筋でござる。」
其其、感想を呟きながら 観賞を続ける。
やがて一話が終わって二話が始まり、話は次第にギャグから重たいストーリーに展開。
「ふむ、春雨の華陀も出ていたか…しかし銀魂も随分キャラが増えてきたな。少し離れると誰が何か解らん。まぁ、拙者は晋助さえ居れば良いが」
チラリと高杉を見れば、高杉は無反応。
いや、案外集中して見ている様だ。
「(何やかんやで好きでござるな、銀魂。)」
小さく笑って万斉も画面を見る。