その他

BANGRANG
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※映画見てます


――――――――――――


「待ってよ!!ねぇっ、待って!!俺の声聞こえてんだろ!?」


『……ッ、』スタスタスタ…


ガシッ!!


「どうし『離してっ!!』バッ!!

「……っ!?」

『……っぅ、ッッ、』


「ジェニファー……一体どうしたんだよ?」


『どいて、さよなら、あの子が待ってるよ』


「あの子…?あっ、待ってってば!!」


『私帰るの!!』


「彼女が好きなら態々こんなところまで探しに来ると思うか!?

よく考えてみろっ!!来るわけないだろ!?来て何の意味がある!?彼女が好きな俺は今ごろ楽しくパーティーを楽しんでたさ!

……君は俺がどれだけ君の事探し回ったのか知らないだろう…?」

『……ッ』

ぎゅっ…

『……ごめんなさい…ジョナサン…』

「いいんだ…俺の方が悪かった。」

『……』

「……」

ちゅっ…

「妬いてくれたのかい…?」

『もの凄くね…』

「嬉しいよ…」



ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。



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『きゅぁうぉッッ〜…!!!!』

「……」


両手で口を押さえたり目を覆ったり、指の隙間から画面を見たり…ホラー映画じゃないんだから何とかならないのかその動き。おまけにボンボン跳ねるのでソファーが煩く軋む。俺の視界もぐらぐら。




『かっこいい〜…!!ヒロインもかわいい〜…!!』


俺的には奇声上げて悶えてるお前の方が可愛いけどね。でも2q追って行動パターン把握してたらストーカーじゃ……は、さておき…


「帰らないでいいの☆?明日は用があるから朝早いんじゃない?」


そう、随分前に帰るはずだったのに偶然古い洋画の再放送がやっいて、運悪く内容が恋愛だったので☆が迷わず食い付いたのだった。『ちょっとだけ…』がここまで延長してクライマックスまで来てしまったのだ。


『うん…あとちょっとだけ……うわぁ〜…』


何に釘付けになってんのかと画面に目を移す。あぁ、キスシーンだ。しかも超濃いディープ。深夜コーナーの容赦ない演出感満載だ。俺はソッチ系は借りたり買ったりで見慣れてるけど、☆は違う。恥ずかしさから顔、耳を真っ赤に染め上げ、挙げ句の果ては涙目になっているがそれでも見るのを止めようとしない。外人はやたらキスが巧いと思うのは俺だけだろうか?


『……やぁ〜ッ!!』


「ダメなら見るなよ…」


『おっけ!オッケオッケォケェ…!!』


口元が奏でる卑猥な水音と漏れる声。俺は訊きたい。彼氏と見てて普通気まずいという認識を持ちませんか?俺は気まずいです。健康優良日本男児は誘ってるのかと訊きたくなってしまいます。



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『ン…ッ、』

「綺麗だよ…」

『そん、な…』


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「……」


そうだね。綺麗だわ。俺が思うにこのヒロインちょっと☆に似てる。外人だから違いは当然あるけど、顔付き、髪型、体型、雰囲気とか近い。だからだいぶキてるんだよな。


付き合ってから☆とキスした事はない。してない理由は俺が晩稲だからなのが一番の原因なのかもしれない。でも☆も言ってこなかったし今までお互いこの距離感で満足してた。



「(…こ…これ要求されたらどうしよう…)」


見終えた後を考えるとなくはないかもしれない…

涙目でもじもじと…




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『頼人君…』
※普段呼び捨て
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「(ヤバいっ!!だめッエロいっ…!!)」



無駄な想像力がフルで働く。顔が熱くなってきた。思考読み取られてないよな…?絶対映画って思うよな…!?違う!!ムッツリに思われる!!ニヤける口許をモゴモゴして誤魔化す。出来てる…俺?




『この人…沖田さんに似てる…』


「えっ?」

『ほら、似てない?笑うと…あ、ね?』


言われてみると…長身で筋肉質。切れ目で人懐こい笑顔が素敵。譲れないイケメン度も120%。見えるかも。雰囲気なんてもろ同じじゃね?


『似てる…』

「ち、ちょっとだけな」



==========


「……☆ッ、」


『お、きたさっ…!!』


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あれ?アレレレ…?動揺してる?俺の目にフィルターがかかってしまったのか?そうにしか見えない。あれ!?嘘でしょ!?


チカチカする。目眩…?胸くそ気分悪い。認める、美男美女。でも☆は俺の彼女で…

血の気が引く。貧血…?もし、万が一これで☆が沖田さんの事好きになっちゃったら…?
☆は沖田さんの彼女に…

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「……☆…」

『…お…沖田さっぁ…!!』

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あ゛ぁあ゛ああぁ耳痛い!!幻聴か!?追い込まれてるのか!!?

事は過激さを増して進み、ついに2人はフカフカのベッドへダイブ。


☆の発言からして間違いなくコイツを沖田さんに被せて見ているに違いない。沖田さん!!許せません!!イケメン担当エロスだからって俺より先に☆を抱かせるわけにはいきません!!



「☆っ、止めない…?」

『……うん…』



流石に気まずさを感じたよう…なのに何故リモコンを離さない…!!
駄目声届いてない!!

脱ぎ始めたぞオイッ!!なんで筋肉のつき方まで沖田さんなんだよジョナサン!!駄目!!☆っ、脱いじゃッッ…!!



「やめっ…!!」『わっ!!』

プツン…!!

『あ…』


ジェニファーがはだけたのに動揺して☆は電源を切った。深夜の静まり返った空間に響く妙に荒い息づかい。☆は漸く俺という存在を捉えて目を見開き俯く。



『……ごめん…ッ』


「い、いや……」



なんて答えていいかわからない。わかる奴いたらスゲェよ。尊敬するし崇拝するよ。マジで。


『……帰るね』

「送ってくよ?」

『ありがと、大丈夫…』

「……そっか」



映像が消えたとはいえ、鮮明に蘇る俺ビジョン。

沖田さんに…盗られたら…あんな風に見せつけられたら…

これから事ある度に沖田さん引っ張り出すようになったらどうする…!?

沖田さん沖田さん沖田さん沖田さん……違う意味で頭いっぱい。


落ち着けよ俺。杞憂だよ俺。


勝手にフィルターかけてこの嫉妬。



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