過去作品2
□百万本の花束を
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「ほれ、」
バサッ、と音と同時に、私の目の前一面に、赤、黄、紫、桃色、などの多色の薔薇が差し出された。
「なんや、いらへんの?」
いるよ。そう言って花束を彼の手から貰うと、満足そうに笑いながら、「それ、プレゼントやから」と言った。
私はふと疑問に思った。誕生日でもない今日、一体何のプレゼントなのだろう、と。すると彼は、私の心中を察したのか、またニッコリと笑った。
「封筒入っとるやろ」
「あ、本当」
「中、開けてほしいねん」
ガサッ、薔薇の花の匂いが漂ってきて、棘がある少し手前に、彼が名指した封筒があった。真っ白、しかし、封筒の底が少しながら膨らんでいて、その部分だけ固かった。私は手紙を封筒から取りだし、静かに開いた。
「これ…っ本当!?」
「おん。中に書いとる通りや」
手紙を持ったまま、私は封筒を逆さまにして、左手の上に封筒の底に沈んでいた、あるものを取り出した。光に反射して、綺麗に輝いていた。
「な、返事どうなん?」
「…っ、もちろん。私も…!!」
百万本の花束を
(付き合って丁度三年やな)
(俺が売れるの支えてくれてあんがとう)
(せやから聞いてほしい)
(結婚、せーへん?)
(P.S.婚約指輪入っとるから)