過去作品2

□終わりは始まり
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「リーマス、もうすぐ卒業だね」

「そうだね」

 君と別れるのは、嫌だよ。僕はそう思っていたけど、口が裂けても言えなかった。こんな僕に、ジェームズやシリウスならきっぱり言っただろうね、「このへたれ」って。

 好きだよ、でも伝えなかった。皆で賑やかに騒いでる時間が、僕には幸せだった。こんな僕に、リリーにはっきりと言われたことがあったかな、「馬鹿ね」って。

 卒業式が過ぎたら忘れるつもり。僕はこの恋心も思い出として、一生しまい込むつもりだった。こんな僕に、ピーターは困ったように言ったっけ、「それで本当にいいの?」って。

 もちろん、僕だって、そんな事ができるはずないって分かってた。本当の事言いたい、君を抱きしめたい、忘れたくない。でも、僕は弱いから、君を守れない。君を守れるくらい強かったら、君を抱きしめれたんだ。
 僕がそう思い出にふけていたら、君はいきなり服の裾を引っ張った。

「……どうかしたの?」

「……リーマスは、悲しくないの…」

「…」

「皆と別れて…悲しくない?」

 悲しいよ。
 僕がそう言えば、君は涙をボロボロと顔一面に濡らして、更に僕の服の裾を力強く引っ張り、右手で涙を拭いながら喋った。

「大好きだったよ、リーマス」

「……えっ、」

「私、リーマスが大好きだったんだよ。皆で騒いでる関係を崩したくないから、言えなかった…皆に相談したら、"この天然"とか、"馬鹿"とか、"本当に後悔しないの"とか言われたの。だからリーマスに、これだけは最後に言いたかったの。」

 一緒だ。僕と一緒だったんだ。

「――強くなったら、迎えに行くよ」

 今度は僕が言うよ、君に。だからそれまで待ってて。



終わりはまり
(もっと強くなったら)
(君に会いに行くよ)




 

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