過去作品2
□引き下がれない
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「お前が…欲しい!」
きっと乙女が言われればめろめろのばたんきゅー、でもあいにく、
「シェゾ、君っていつも同じ事、アルルとかシグとか…男女構わず言ってない?」
うぐっ、シェゾは一歩身を引いて、何も言えない、と言わんばかりの顔になった。しかし、シェゾは、ばっ、とマントを風に煽られ、こっちを見ながら叫んだ。
「あれは違う!魔力とか…そう言うことであって、断じて好きとかじゃない!」
「ふふふ、」
「わ、笑うなよな…!」
恥ずかしそうに、シェゾは黙り込んで下に俯いた。
そして顔をばっと上げ、こちらに人差し指を向け、懲りずに「お前が欲しい!」と叫んだ。……とりあえず、
「シェゾの変態」
「なんでだよ!」
なんでだろうね?
そう言うと、シェゾは深い深い、深すぎるため息を吐き出した。そしてこっちを見るなり、「お前は馬鹿だな」とまさしく小馬鹿にしたように小さく呟いた。
「馬鹿で悪いわね」
「地獄耳だな…」
「褒めてる、と受け取っても構わない?」
「………お…お前が…欲しい!」
「質問の答えじゃない」
「うぐっ………」
引き下がれない!
(本気の告白なのに)
(この鈍感女!)