過去作品2
□二人なら
1ページ/1ページ
ある昼下がり、シグは木下でぼーっと、花の周りをくるくると回る二匹の蝶を見ていた。
綺麗だなあ、と思うと、シグは不意に笑みがこぼれた。
「シグ!」
「あ、」
お弁当を持って走ってくる貴女に対し、シグはその場から少し右にずれ、貴女が座る所を少し作った。その場に座り込み、お弁当の包みを広げ、色とりどりの色彩豊かなおかずが沢山顔を覗かせた。
シグは相変わらず、花の上で戯れる二匹の蝶を見つめていた。
「蝶を見てるの?」
うん、とシグが答えれば、綺麗だねっ、と言って口端を綻ばせた。
「ねー、」
「どうかしたの、シグ」
「この前ね、一面花畑の所見つけたんだー。蝶もいっぱいいたんだ」
「それは見てみたいね」
「今度行かない?」
「え?」
「二人で行きたいんだー」
二人なら、
(楽しいと思うんだ)