過去作品2
□ばか
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「シェゾのばぁか」
シェゾの口癖が「お前が…欲しい!」なら、私の口癖は「ばぁか」だと思う。いや、思うじゃなくて、そうである。でも私はシェゾ以外には、馬鹿とは言わない。まあ、サタンを除いてだけどね。
「…は?」
剣の手入れをしていたシェゾの手が、ぴたりと止まった。何故、と言わんばかりに目をぐりんぐりんに広げ、私の目から視線を話そうとはしなかった。私は両手を自分の左右のほっぺに添え、下に俯くようにした。
「は?、じゃない。」
「お前は主語がないんだよ、いつもいつも」
主語、なにそれおいしいの?
私はわざとがましくそう言うと、シェゾは呆れた、とため息をこぼした。
…うん。主語なんてなくても分かるでしょ。
「シェゾは、いつもいつも学習しないなーって思ったの」
「……なんのことだ」
「目線を合わせんか」
明らかに思い当たる点がシェゾにも分かったのか、シェゾは私と目線を合わせようとしない。気のせいか、冷や汗までかいている。どうせ「お前が欲しい!」の欲しいの前に、いつも言葉が抜けているのが気にかかったのだろうね。
「馬鹿、あほ、鈍感、馬鹿」
「馬鹿馬鹿言い過ぎだろ」
シェゾは馬鹿。きっとそれは…後数年たっても変わらないことね。
ばか