1日1ハロウィン!

□ロギン
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「ばあ!」

「!?」


うとうとしていた昼下がり。目の前にいきなりるう子が南瓜を被って俺の視界を埋めてきた。南瓜はまるで優しい悪魔のような顔をしていて、俺はたまらず「なんだそれは」と声を出す。


「古代行事のハロウィンです」

「ふむ。ハロウィンか。……その被り物をするのが、ハロウィンというやつか?」


まあ似たものですかね。南瓜を頭から外し、るう子は後方を見る。施設の子たちが、南瓜を被り楽しげに駆けているのが目に入った。黒いマントやランプを持って、空恐ろしく愛らしい姿だった。
るう子は愉しそうですよね、と笑いながら言った。


「やっぱり楽しいことは皆で楽しまないとですね」

「ああ、そうだな」
 
てなわけで、どっすか?
るう子は愉快そうに口の端を上げ、南瓜を差し出してきた。まさか、被れってんじゃないだろうな、呟いた言葉に、よく分かっておいでで!とるう子は笑顔を向ける。


「皆で楽しむのが一番です」

「そうかもしれないが……だが、」

「ロギンさんも、楽しむ権利があります。同時に、彼らを楽しませる義務もあるんですよ」


やられた。るう子はそらどうだと南瓜をさらに此方に差し出す。
これは、……被るしかない。


「……分かった」


南瓜を被りながら、何故か柔らかいテティの花の香りがして少し胸が高鳴った。


「じゃ、ロギンさん行きましょ!」


差し出された手を握り返し、小さなハロウィンパーティーに急いだ。


 

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