1日1ハロウィン!
□アーチャー
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「るう子、ハロウィンというものを知っているか?」
「ハロウィン?」
アーチャーが唐突にそんなことを尋ねてきた。(個人的にはふりふりエプロンで何をしているか聞きたい……。)
ハロウィン。古代メソポタミアではなかった行事だが、この時代に現界した今だから分かる。
「あれですよね。ギルガメッシュのような我が儘児にお菓子を分け与えなくてはならない苦痛な行事ですよね」
「……完全に偏見だな」
はあ、とアーチャーはため息を零す。む、偏見とは失礼だ。要求イコールギルガメッシュになっているのだから仕方ないじゃないか。
それよりやはりエプロンが気になる…。
「るう子、ハロウィンとは厄を祓う意味がある」
何食わぬ顔で話を続けるんですか。
「更に外国では“トリックオアトリート”と言うらしい」
「はあ……」
だから何だと言うんだ。
つまるところ、トリックオアトリートと言ってお菓子をあげる行事なのは理解した。しかし、それがアーチャーがエプロンを着用している理由と関連性があるのだろうか。
ごほんとアーチャーがのどを鳴らす。
「だからというか、まあ、関係はないんだが」
真っ赤な顔のままアーチャーが小ぶりなケーキを差し出す。マスターに無理矢理言われて仕方なくだ、とぶつぶつ言っている。
…なんだろう。
(凄く歯がゆい…ていうか、恥ずかしい)
ふりふりエプロンのこと、どうせ凛が(楽しんで)渡したに違いない。
くすくす笑いながら、ケーキを受け取った。
「ありがとう、アーチャー」
「ふむ、言うべき言葉が違うと思うが」
「そうでしたね」
子ども扱いが否めない気もするが、まあ、よしとしよう。
「トリックオアトリート、アーチャー」
ケーキはストロベリーで、甘酸っぱくて胸が熱くなった。