1日1ハロウィン!
□ライガット
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「なにしてんだ、るう子」
ランタンの中身を掘り返していると、保護者であるライガットが訝しげに話しかけてきた。何って、見て分からないのか、と一瞬口に出しそうになったが、そうか、これが今もあるとは限らない。……楽しみのない世の中だ。思わず肩を竦めそうになる。
「ジャックランタンを作ってるの」
「ランタン?なんで?」
「もうすぐハロウィンだから」
ハロウィン?
聞き慣れない単語だったのか、ライガットは鳩が豆鉄砲を食らったかのように唖然としていた。実際聞き慣れないのだろう、というより聞いたことがないのかもしれない。
「えっと、ハロウィンってのは、厄を祓う日。……みたいなものかな」
「へえ。んで、それは?」
「んっと……ライガットに被ってもらうやつ」
ハロウィンなのだから、という理由でライガットの頭にランタンを乗せるつもりなのだが。
「被る……、面白そうだな!るう子って本当なんでも知ってるよな!記憶はないままみたいだけど」
「あ、はははー…………」
あったらあったで困るだろうけどね。
よしできた、とランタンをライガットの頭に乗せてみた。ぶかぶかで不器用で、ほんのり指先が痛い。
「うわ、かぼちゃくせっ」
「よしライガット、魔法の言葉を言わなきゃ」
「魔法の言葉?」
ライガットの耳に唇を寄せ、魔法の言葉を口に出す。お菓子くれなきゃ、いたずらしちゃうぞ。――ポケットに忍ばせていたキャンディーの出番まで、あと一分。